2003年8月1日 東京文化会館 大ホール

クレジット

指揮:ミッシェル・ケヴァル、アレクサンドル・ソトニコフ/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

第1部

「リーズの結婚」

振付:フレデリック・アシュトン、音楽:フェルディナン・エロール
フィリップ・バランキエヴィッチ(シュトゥットガルト・バレエ)

手足が長くて(背も高い)とても大きく丁寧に、綺麗に踊る人でした。1人のバリエーションをこのようにガラで踊るケースは珍しいのではないかしら?短いものだったので、パ・ド・ドゥでどんな風に踊られる人なのか、もう少し見たかったな。

「ロメオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ

振付:レオニード・ラヴロフスキー、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリーヤ・アレクサンドローワ/セルゲイ・フィーリン(ボリショイ・バレエ)

明るい調子の「リーズの結婚」から「ロメジュリ」。こちらも切り替えが大変ですが、プロコフィエフの音楽が本当に素晴らしいので(オケも素晴らしかったです)、自然にこちらも盛り上がります。ラヴロフスキー版を生で見るのは初めてでしたが、有名なマクミラン版に慣れた身には、悲劇的な結末を予測させる割と重たいものに感じました。踊る2人が割と深刻な表情をしてたせいかもしれません。ロメオもジュリエットも恋する喜びを爆発させる、幸せの頂点のパ・ド・ドゥだと私は思っていたのですが、この版ではちょっと違うのでしょうね。アレクサンドローワは美しくて長い手足の持ち主ですね。4階席からでは、オペラグラスを使っても表情が読み取れないほど顔が小さいような。フィーリンの踊りも美しかったと思います。ボリショイ組は端正すぎて、今回のようなお祭りの時は一見地味に見えますが、素敵でした。もう少し後の方で見たかったかも。

「エスメラルダ」

振付:マリフス・プティパ、音楽:チェーザレ・プーニ
アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス(パリ・オペラ座バレエ)

2人が舞台に出た瞬間、本当に華やかでした。背の高い2人ですから舞台映えもしますし、公私共にパートナーなだけあって、細かいところまでよく合っていて、うっとりと堪能できました。本当に美しかったです。チュチュも華やかだったし、一部のトリにふさわしかったですね。ルテステュの長いバランスも見られて嬉しかったし、タンバリンさばき(?)も素敵で、音も綺麗に鳴っていました。マルティネスもかっこよかったです。


第2部

「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」

振付:ウィリアム・フォーサイス、音楽:トム・ウィレムス
グレタ・ホジキンソン(カナダ・ナショナル・バレエ)/ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座バレエ)

未消化な感じを受けたのは、この2人の組み合わせのせいでしょうか。それともこちらのせい?ホジキンソンの踊りは切れがあってすごいと思いましたが、ちょっとした立ち居振る舞いの所で気を抜いちゃったのか、あまり綺麗じゃないところがあって、それ以外はホントにくぎ付けになるほどかっこよかっただけに残念でした。ロベルト・ボッレの方はあの衣装が映える〜。こんなかっこよかったっけ、とほれぼれ。クラシカルな感じだけど素敵でした。そんな2人なのに一緒に踊ると何かしっくりこない気がしたんですよね。Bプロでは別のペアが踊るので、そちらと見比べてみたいと思います。

「ジゼル」

振付:コラーリ/ペロー、音楽:アドルフ・アダン
アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル(シュトゥットガルト・バレエ)

最初、フォーゲルが出てきた時「子供?」とびっくりしました。すごく若いのね、大丈夫かしら・・・と思って見ていたのですが、全くの杞憂でした。いやはや全く音のしない、やわらかくて美しいジャンプ、これぞクラシックダンサーという感じで、彼を見られたのは今回の収穫でした。いやホントに素晴らしかった。アマトリアンも精霊となったジゼルを幻想的に演じていました。何しろ遠くから見てるので細かい部分まではわかりませんが、とても美しかったと思います。

「ゲッティング・クローサー」

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:ネッド・ローレン
シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

ノイマイヤーのおひざ元ハンブルクからの登場とあって、さすがにノイマイヤーの言語が身についた2人だと思いました。リアブコがゴールド、アッツォーニがシルバーの体にぴったりとした(そして上半身はけっこう透けてた・・・)衣装で、リアブコのちょっと癖のある黒髪と、アッツォーニのさらさらの金髪(これが美しかった〜)の対比とともに、「全く異質のものが近づいていく(getting closer)ってことなのかな?」と思いながら見てました。息もぴったりで美しかったと思うのですが、華やかなこのステージでは印象が薄くなってしまうのは仕方ないことなのでしょうか。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピヨートル・I. チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル(英ロイヤル・バレエ)/アンヘル・コレーラ(アメリカン・バレエ・シアター)

2部のトリです。最近コジョカルがABTに客演したり、コレーラがロイヤルに客演したりして、わりと共演する機会も多い2人なので息もぴったり。ニコニコしながら楽しそうに踊ってくれました。「海賊」のアリを踊る時のコレーラは約になり切っていて全く笑顔がありませんが、今日は笑いすぎなくらい笑顔・・・きっとダメな人はダメでしょう。私はアンヘル好きなので全然いーんですが。「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ってこんな演目だっけ?という位に派手にクルクル回ってジャンプも高くて、かなり盛り上がりました。バランシンが見たら怒るかも・・・だけど。コジョカルもとっても素敵でした〜。今日の目的の1つだったのですが、かわいらしくてね〜。一緒に踊るコレーラが満面笑顔になっちゃうのわかる気がする。来年日本でロメジュリを踊ってくれるのが楽しみです。まだ21か22だと思うので、これからしばらくは彼女の踊りを見る幸せを味わえそうです。

第3部

「シルヴィア」

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:レオ・ドリーブ
オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座バレエ)

今年3月の日本公演はケガで出られなかったオレリーが復帰しました。オレンジ色というか秋のシックな色あいのフレアースカートのスーツのオレリーの衣装はクラシックのチュチュより彼女にしっくりくるような気がしました。出てきた最初は地味な田舎の女の子という感じでしたが最後には大人の女性という感じで、ガラで一部だけ抜粋して見るのはもったいないというか。ルグリとのパートナーシップもぴったりで、パリオペ組らしさを感じました。ルグリはそこにいるだけで存在感があって・・・もっと近くで見たかったです。

「パヴァーヌ」

振付:ジョージ・バランシン、音楽:モーリス・ラヴェル
アレッサンドラ・フェリ(ミラノ・スカラ座バレエ/アメリカン・バレエ・シアター)

白い布(シフォンかな?)を持って白い同じ素材の衣装を着たフェリのソロ。布のあしらいが今1つこなれてなかったような気がしましたが、フェリの醸し出す雰囲気に飲まれました。うーん、でもフェリならもっと別のが見たかったというのが本音。Bプロに期待します。

「マノン」より 寝室のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン、音楽:ジュール・マスネ
ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)/ウラジーミル・マラーホフ(ベルリン国立歌劇場バレエ)

冒頭、机に向かうマラーホフがちょっと猫背でかわいかった。ヴィシニョーワは4階から見てもにおい立つほどに華やかで、色香にあふれていて。今が旬のヴィシニョーワに比べて、マラーホフお疲れだったかも。5月の「眠り」でも「お疲れかしら?」と言われていたので、かなり心配です。

「海賊」

振付:マリウス・プティパ、音楽:リッカルド・ドリゴ
タマラ・ローホ(英ロイヤル・バレエ)/ホセ・カレーニョ(アメリカン・バレエ・シアター)

今日一番よかったペアです!カレーニョはABTに移る前はロイヤルにいたのですから、2人の息が合うだろうとは思っていました。2人ともラテン系だし。カレーニョのアリは去年の来日公演で見逃していたので、今日見られたのも嬉しかった。とても大きくてワイルドなのに、あんなに品があるのはカレーニョくらいではないかしら。本当に美しい踊りで、会場中が魅了されていたと思います。タマラ・ローホのピルエットもすごかったです。シングル・シングル・トリプルっていうのをがんがん回り続けて、軸もずれずに美しいまま。最後は4回回ってたんですよ〜。あれはすごかったです。ただのパワーダンサーじゃなくて、ロイヤルスタイルだから美しいし、ホントにすばらしかったです。このペアを大トリに持ってきてくれたらよかったのに!と思いました。

第4部

「アダージェット」

振付:モーリス・ベジャール、音楽:グスタフ・マーラー
ジル・ロマン(ベジャール・バレエ)

こちらも圧巻でした。最初は入り込めない感じなのに、いつしかジル・ロマンの世界のまっただ中に放り込まれていたというか・・・マーラーの5番に対する印象さえ変わってしまった感じです。言葉にするのはとっても難しい。でも、もしかしたら私、ベジャールとロマンの魔の手に落ちたかも。

「ラ・バヤデール」

振付:マリウス・プティパ、音楽:ルードヴィッヒ・ミンクス
ガリーナ・ステパネンコ/アンドレイ・ウヴァーロフ(ボリショイ・バレエ)

噂には聞いていましたが、ウヴァーロフってすごいダンサーですね。これでもかというくらい大きく舞台を回ってました。なのにノーブル、というのもツボかも。ステパネンコも超絶技のダンサーだと聞いていましたが、美しかったです。もう少し別のバリエーションも見たかったなー。5日のドンキが楽しみです。

「優しい嘘」

振付:イリ・キリアン、音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌
シルヴィ・ギエム(英ロイヤル・バレエ)/ニコラ・ル・リッシュ(パリ・オペラ座バレエ)

この2人も出てきただけで会場全体の空気を変えてしまいます。ニコラはどうしても生で見たかったので、動いてるニコラが見られただけで涙が出そうになりました。キリアンの作品ってこんなに人の胸を打つのですね。食わず嫌いだったわ・・・吸い寄せられ、締めつけられた感じ。あっという間に終わってしまってホントに残念でした。全部見せて〜。

「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ、音楽:ルードヴィッヒ・ミンクス
バルボラ・コホウトコヴァ(ボストン・バレエ)/イナキ・ウルレザーガ(英ロイヤル・バレエ)

さあ、最後のペアです。ギエムのニコラの後ではちょっと気の毒な感じでした。ウルレザーガはがんばってジャンプとターンをこなしていましたし、コホウトコヴァもピルエットがんばっていましたが、必死さが透けて見えるようで・・・逆に「がんばれっ、よくがんばったぞっ」の暖かい拍手をしてしまいました。うーん、別に超絶技巧大会ではないのですけれど、つい期待しちゃうんですよね。でもでも、コホウトコヴァはとてもプリマらししバレリーナ(という表現は変かしら)だと思いました。クラシックな演目で1度全幕見せてもらいたいなー。ウルレザーガの方は、なかなか見る機会がないと思うので、それはよかったと思います。でも、なんでこの2人がドンキだったのかしら・・・


演目以外のことでは、オーケストラ(東京フィルハーモニー交響楽団)がちょっと。特にホルンが気になりました。ミッシェル・ケヴァルさんとアレクサンドル・ソトニコフさんのタクトはさすがでした。グランド・フィナーレのカーテンコールには指揮者のお二人も出てこられたのですが、あれはソトニコフさんかなぁ、カーテンの向こう側にお戻りになる時に小さくピョンとジャンプされたのがとってもキュートでした。

今回は気合いが入っていたし、自分の中でのバレエのボキャブラリーも若干増えてきたので楽しめました。ガラも楽しいじゃん、て感じかな。以前見たガラがハズレだったことがあって、それ以来どうしても見たいと思ったガラだけ見るようにしているのですが、ちゃんと選んで見ればよいのね〜。

この演目ならあの人はどう踊ったかしら、とか、ぜひ全幕で見たい!とか、思うこともいっぱいありましたが総じて堪能しました。あー、やっぱバレエ好きです。もっと近くの席で見れるよう、精進したいと思います、ハイ。