2003年8月13日 東京文化会館 大ホール

クレジット

指揮:ミッシェル・ケヴァル、アレクサンドル・ソトニコフ/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

第1部

「フー・ケアーズ」よりソロ

振付:ジョージ・バランシン、音楽:ジョージ・ガーシュイン
マルセロ・ゴメス(アメリカン・バレエ・シアター)

風邪で来日できなかったカルラ・フラッチの代わりに、Bプロだけの予定だったゴメスが残って小品を踊ってくれました。ちょっとシャイな笑顔で長い手足で踊る彼は、開演直後のざわついた客席を舞台に吸い寄せてしまいました。本当に短いソロだったのが残念。今回はチューダーとバランシンしか見られなかったけど、彼はクラシックの王子様も似合うと思うし、演劇バレエもイケると思う。これからABTでガンガン活躍してくれますよーに。

「マノン」より 寝室のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン、音楽:ジュール・マスネ
アリーナ・コジョカル(英ロイヤル・バレエ)/アンヘル・コレーラ(アメリカン・バレエ・シアター)

コジョカルのマノン、かわいらしかったです。アンヘルのデ・グリューはフランス人じゃなく、やっぱりラテン系の情熱があふれていました。だから、ちょっと他のマノンとは違う印象。デ・グリューがマノンに夢中なのはしっかり伝わって来たけど、でも3プログラムともそんな感じだったもんなー、アンヘルったら。コジョカルの愛らしさをいかすには、もっと別のパートナーがいいかも。身長的にはとてもバランスがとれたカップルだと思うけどね。また来てね〜。

「エンジェル」

振付:レナート・ツァネラ、音楽:アルヴォ・ペルト
マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座バレエ)

ルグリの身体的表現力にくぎ付けでした。思ったより長い作品で、しかもすごくハードな作品なので(ジャンプがどうとかでなく、動きはゆっくりなんだけど体を綺麗に見せるために筋肉を酷使してる感じ)4幕にももう1度踊る彼のことを心配した位。細かい部分を堪能するにはオペラグラス必須なのですが、シンプルな舞台全体、ルグリが支配する空間そのものもちゃんと見ておかなきゃ、と思う作品でした。

「マーラー交響曲第3番」第6楽章「愛が私に語るもの」

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:グスタフ・マーラー
シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

「愛が私に語るもの」と言えば、ホルンのユニゾンが・・・今回のオケはホルンがかなり心配だったのですが、なんとかセーフだったかな。ドキドキしましたわ。赤いユニタードのアッツォーニと、あれ、リアブコはどんなスタイルだったっけ・・・多分ベージュのパンツだったと思うのですが。派手ではありませんが、とても美しいパ・ド・ドゥでした。難しいリフトがいっぱいあったのに、全部綺麗にこなしていてさすが。ハンブルク・バレエもノイマイヤーも今まで縁が遠かったのですが、今回この2人を3プログラムで見て、興味が沸いてきました。


第2部

「バレエ・フォー・ライフ」よりソロ

振付:モーリス・ベジャール、音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ジル・ロマン(ベジャール・バレエ)

初演からずっとロマンが踊っているというソロ。いやー魅了されました。フレディ・マーキュリーがライブで観客に語りかけている(と思われる)導入部分。その後のモーツァルトの「フリーメーソンのための葬送音楽」。決して大きなアクションではないけど、挑発したりニヤリと笑ったりする、今までの2プログラムとは違うちょっと下世話な感じのするロマンの表情から目が離せませんでした。もちろん踊りは文句なくすばらしい。「バレエ・フォー・ライフ」はフレディ・マーキュリーとジョルジュ・ドンの死によってつくられた作品ですが、また日本にもってきてほしいな。今度は見にいきますから。

「じゃじゃ馬馴らし」

振付:ジョン・クランコ、音楽:ドメニコ・スカルラッティ/クルト・ハインツ・シュトルツェ
アレッサンドラ・フェリ(ミラノ・スカラ座バレエ/アメリカン・バレエ・シアター)/フィリップ・バランキエヴィッチ(シュトゥットガルト・バレエ)

最高!フェリはこういう役を踊らせたら一番ですね、やっぱり。男勝りにドスドス歩いてくるところも、いつしか女らしいしぐさになるところも素敵。バランキエヴィッチはサポートは上手だし(今までソロだったからわからなかったけど、リフトなんてすごい〜)コメディアンぶりもいいし、もう目がハートになってしまいました。そりゃあフェリだってノリノリになるよねーって思ったよ。このフェスで女性ファンすっごく増えたハズなので、どんどん日本に呼んでくださいねー、招聘元さん。この2人はカーテンコールも役柄そのもので笑わせてくれました。ブラヴォー♪やっとクランコ作品も見られて嬉しかったです。

「太陽に降り注ぐ雪のように」

振付:ローランド・ダレシオ、音楽:フレデリック・ショパン/シンドラー
アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル(シュトゥットガルト・バレエ)

もともとは「白鳥の湖」から2幕のアダージオの予定だった組ですが、この作品面白かったです!シュトゥットガルトの人が振り付けた作品だそうで、フォーゲルは初演時のダンサー。ピンクのTシャツの下に黒のレオタードを着て踊るのですが、上のTシャツをビヨーンと伸ばしたり、相手のTシャツの中に入ったりと、面白い作品でした。前の「じゃじゃ馬馴らし」で暖まった観客席がクスクス笑うユニークさ。最初と最後に照明がピンク色になるところがあるのですが、2人の金髪がピンクに染まって綺麗でした。黒髪じゃこうはいかないものねぇ。とにかく印象的。フォーゲルも今回「めっけもん」のダンサーでした。バレエフェス前に7ヶ月も骨折で休養してたそうですが、全然そんな感じなかったもんね。クラシックよりコンテンポラリーの方が面白みがあったけど、体の柔らかいダンサーなので、もっと見たいなー。

「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ガリーナ・ステパネンコ/アンドレイ・ウヴァーロフ(ボリショイ・バレエ)

ウヴァーロフったらノーブル(はぁと)!これぞロシアの王子様ですわ。まー、あまり世間知らずの王子様には見えませんが、その立ち居振る舞いは王道クラシックでした。カレーニョの王子様はもっと世間知らずでわかりやすかったけどね。Bプロでは笑顔が少なくて、体調大丈夫かしら?と心配しましたが、今日は素敵な笑顔でした。かたやステパネンコの黒鳥も王道。フェッテはすごく難易度の高いものだったと思うけど(両手を広げたゆっくりのシングルと素早いダブルのくり返し)全然軸足がずれないし、音楽にもぴったり合ってて、感心したー。あ、そういえば、ステパネンコのヴァリエーションが普通と違うものだったよ。音楽も違ってたし、あれはどっか別の部分のヴァリエーションなんでしょうね。ステパネンコのバリエーションは、ABガラと全部通常の流れとは変えていたようですね。

第3部

「エクセルシオール」

振付:ルイージ・マンツォッティ/ウーゴ・デラーラ、音楽:ロミュアルド・マレンコ
グレタ・ホジキンソン(カナダ・ナショナル・バレエ)/ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座バレエ)

120年位前のグランドバレエを復元したもの、なんだそう。人類の技術発展についての物語ということだったけど、今回はよくわからなかったなー。グレタ・ホジキンソンは胸元にエンブレムみたいなのをつけた衣装で、ボッレは小さなブリーフ並のお衣装。まー、確かにボッレのお体は立派ですがねぇ。2人のダンスの美しさはこの演目に合っていたようです。やっぱりボッレはクラシカル・ダンサーなのだな。ホジキンソンも、もっと日本で見る機会が増えるといいな。あ、そうそう、ホジキンソンは今日がお誕生日のようで、フィナーレ後の抽選会で会場から大きな拍手をもらってました。happy birthday!

「マノン」より 沼地のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン、音楽:ジュール・マスネ
オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座バレエ)

第3部が始まる直前のアナウンスで、ルテステュが高熱のために演目に変更が生じたことが知らされました。4部の2つめに予定されていたマノンを3部の2つめに持ってきて、ルテステュの演目「ドリープ組曲」はアダージオのみを4部の2つめに上演することに変更。残念だけど、ルテステュ大丈夫かしら・・・とどよめく客席でした。で、その変更になった「マノン」、オレリーは割と肉付きのよいダンサーなので、死にゆくマノンというにはちょっと健康的な違和感があった導入部。ギエムのようにわかりやすい表現ではないけど、切ないほどにデ・グリューを愛する様子が伝わってきて、見てるうちに泣けてきました。ルグリも抑えた表現で、全然ニコラとは違うデ・グリューでしたが、切なかったです。この2人、いいパートナーですねぇ。

「アパルトマン」

振付:マッツ・エック、音楽:フレッシュ・カルテット
シルヴィ・ギエム(英ロイヤル・バレエ)/ニコラ・ル・リッシュ(パリ・オペラ座バレエ)

わー、見たかったのよーこれ。写真で見たことがあったアパルトマンの中の風景ではなくて、舞台上手に白いドアがあって、髪をお下げにした中性的なギエムが下手から登場するの。その瞬間から魅せられてしまいます。今日はニコラのダイナミックな踊りも見られて嬉しかった〜。ニコラにも惚れ直したバレエフェスでした。しかし、いくら振りとは言え、ギエムのお顔にバレエシューズを乗せてしまうのって。

「タリスマン」

振付:マリウス・プティパ、音楽:リカルド・ドリゴ
バルボラ・コホウトコヴァ(ボストン・バレエ)/イナキ・ウルレザーガ(英ロイヤル・バレエ)

今日の演目は今までの中で一番このペアに合っていたように思いました。コホウトコヴァには、こういう衣装、こういう演目が一番いいみたい。とても綺麗でした。ウルレザーガも見た中では一番よかったかな。どうも観客が今までのプログラムでの印象を引きずっているのかウルレザーガに冷たいような気がしましたが、今日の演目だったらよかったと思うよ。この路線で最初から行けばよかたのにー。

第4部

「ライモンダ」

振付:マリウス・プティパ、音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリーヤ・アレクサンドローワ/セルゲイ・フィーリン(ボリショイ・バレエ)

いつも同様フィーリンの王子様っぷりが素敵でした。アレクサンドローワもこの演目が一番似合ってた気がするなー。前回も気になったけど、頭と首を前に傾けて踊るのは彼女の癖なのかなぁ。Bプロでのステパネンコ・ウヴァーロフ組とはバリエーションが違いましたが、多分こっちが流れ通りだよね。ルンキナのご懐妊で代役として踊ったアレクサンドローワですが、彼女に合った演目ならとってもよいのだなぁと再確認しました。

「ドリープ組曲」

振付:ジョゼ・マルティネス、音楽:レオ・ドリープ
アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス(パリ・オペラ座バレエ)

ジョゼが振り付けて、アニエスが衣装デザインを担当した、ご夫婦の作品。ルテステュは熱がまだ下がってないようで、とても青白いお顔でした。ジョゼもサポートしてない時(離れて立ってる時)は本当に心配そうで・・・無理させてしまったなぁと観客の1人として思いました。ルテステュのデザインした衣装はかわいらしかった!鮮やかなフレンチブルーとグレーのストライプの発色は、やっぱり「おフランス」ならではね、と感心することしきり。ルテステュのチュチュが、一番上がフレンチブルー、その下がグレー、その下はずっとスカイブルーのシフォンが重なっていて、本当に見ほれる程の色合いでした。素敵。結局アダージオだけを踊ってくれたのですが、クラシックらしい綺麗な作品でした。全部を見られる機会がありますように。カーテンコールでも感謝と励ましの拍手がいっぱいだったのですが、あまり何度もカーテンコールにお呼び立てするのも悪いし・・・早く元気になって下さいね。

「ロメオとジュリエット」

振付:ケネス・マクミラン、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)/ウラジーミル・マラーホフ(ベルリン国立歌劇場バレエ)

マクミラン版のロメジュリ、バルコニーのパ・ド・ドゥ。ヴィシニョーワは恋するジュリエットそのものでした。マクミラン版の振付はまだちょっと彼女の身につききれてないかなぁって気がしたけど、見るたびにその華やかに惹きつけられます。マラーホフは、ちょっと上のシャツが大きい?って気になったけど、恋するロメオでした。調子はやっぱりよくないのかなぁ・・・着地音のしないやわらかなジャンプは健在でしたが。あー、それにしてもマクミラン版のロメジュリはいいねぇ。

「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ、音楽:ルードヴィッヒ・ミンクス
タマラ・ローホ(英ロイヤル・バレエ)/ホセ・カレーニョ(アメリカン・バレエ・シアター)

カレーニョのバジル、やっぱり優雅でダイナミックです。6時のリフトもバッチリ決めました。でもびっくりしたのは、ローホのバランス!アラベスクの姿勢で一体何秒停止してただろう?10秒とか?手を差し出して待ってたカレーニョの手は結局取らずじまいだったもんねぇ。ピルエットも強かったけど、ステパネンコのすごいピルエットの後だと「あ、軸足ずれちゃった」とか思ったり。でもすごかった〜。この2人はカーテンコールにもリフトしたまま6時のポーズで出てきたり、ふざけあって出てきたりしてかわいかったです。


この日はおまけのサプライズはなく、そのままササチュー(招聘元NBSの親分)のご挨拶に入りました。私は抽選でダンサーのサインが染め抜かれた手ぬぐいが当たりました♪その他に舞台上で、ダンサーがその手ぬぐいを投げてくれたり、ダンサーのサイン入りポワント(トゥシューズ)や来日できなかったカルラ・フラッチからのプレゼントである香水(カルラ・フラッチという名前)をチケットの半券で抽選してくれたり。そして最後にまたカーテンコールがあったのですが、このときはもうルテステュは舞台から引っ込んでいたようです。

翌14日はサプライズがあったそうで、くー、見たかったなぁ・・・。今度は絶対最終日を取ってやるぅ〜!