2004年1月12日 新国立劇場オペラ劇場

クレジット

振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/監修・演出:ウェンデイ・エリス・サムス/舞台美術・衣装:デヴィッド・ウォーカー/照明:沢田祐二/装置・衣装制作:英国ロイヤルバレエ
指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

シンデレラ:高橋有里
王子:小嶋直也
義理の姉たち:ゲンナーディ・イリイン、堀登
仙女:大森結城
父親:石井四郎
ダンス教師:吉本泰久
仕立屋:江本拓
洋服屋:厚木三杏、楠元郁子
靴屋:西梶勝
床屋:中村誠
宝石屋:井口裕之
御者:内藤博
春の精:真忠久美子
夏の精:寺島ひろみ
秋の精:本島美和
冬の精:前田新奈
道化:グレゴリー・バリノフ
王子の友人:陳秀介、マイレン・トレウバエフ、冨川祐樹、貝川鐵夫
ナポレオン:伊藤隆仁
ウェリントン:市川透


感想

3回目の「シンデレラ」、最終日に行ってきました。幕が開いて「!」だったのは、イリインさんの義理の姉。アクリさんは「男の自分が演じてる」部分を強く出した滑稽さだったけど、イリインさんはけっこう美女系に顔がつくってあって「女を演じて」いました。だから、「男っぽい上の姉」と対比すると何となく女っぽく見える下の姉、の堀さんはちょっと印象が薄くなってしまったようです。前回に見た奥田さんのキャラがたってて(あのキャラなら、相手がどんな姉でも負けないよね〜)よかったので、そのせいもあるかもしれませんけれど。

高橋さんのシンデレラの第一印象は「おお、小さい!」でした。でも踊っているともっと大きく見えますね。オーラはまだちょっと足りないかなーって思いますし、もっと色んな表情を見せてほしかった部分もあるのですが、とてもよく踊っていました。おっとりしたお嬢さんタイプのシンデレラって感じだったかな。柔らかい踊りは彼女の可愛らしい雰囲気をひきたてていて素敵でした。

小嶋さんは、登場した瞬間すごい拍手をもらっていました。怪我の後なので、ちょっと心配して見ていたのですが、やはりまだ本調子ではなさそうですね。それでもやっぱり跳躍の美しさには惚れ惚れしました。舞踏会で下々の者たちが楽しんでいる様子を見守る様子には「近い将来一国をしょってたつ人間の物腰」がにじんでいて、落ち着きのある人格のようでした。

2人ともが落ち着いたタイプだったせいでしょうか、最初に会った瞬間から元々恋人同士であるかのような落ち着きがあって物足りなかったようにも思いましたが・・・ガラスの靴の持ち主を探しに来た王子の前で、もう片方のガラスの靴を落としてしまったシンデレラが「あっ」という感じで右手を出した様子と、その靴を見て「顔をあげてごらん」というようにシンデレラのあごにそっと愛おしそうに手をそえる王子の素敵なこと!この2人のドラマで一番気に入った部分でした。

さらに王子は、シンデレラがガラスの靴を履けた時にすっごく嬉しそうに笑うのですが、その様子もかわいかったです。城を出て市井にいる気安さでしょうか、シンデレラの家にいるときの王子は、城に要るときの威厳や落ち着きよりも「恋する青年」ぽさが強調されていたのかもしれませんね。

他のキャストでは、ダンス教師=吉本さん、道化=バリノフくん、春の精=真忠さん、秋の精=本島さん、冬の精=前田さん、ウェリントン=市川さん、が初見のキャスト。吉本さんのダンス教師は「おしゃべりなおかまちゃん」の雰囲気ですね。割とどれを踊っても似た感じでおどけてるように見えるが少し残念・・・かな。バリノフくんの道化は、さすがの一言。着地音あんまりしない人ですねぇ。吉本くんは上半身にもう少し説得力があったように思うのですが、最初の踊りのフィニッシュで自分の足の間から道化の人形をニュっと出しておどける部分は、吉本君の時はあまり印象がなかったので、「おお」と思いました。

真忠さんの春の精は華やかでした。テンポが早い曲なのでかなり難しい踊りだと思うのですが、西川さんのキビキビした感じよりは少し柔らかい印象。夏の寺島さんは前回の方が「夏のけだるさ」があったようにも思いますが、うっとりする美しさ。秋の本島さんはちょっと印象が薄いです、ごめんなさい。冬の前田さんは、冷たい北風のようだった厚木さんと違って、もう少し暖かい印象。慈愛に満ちた表情も印象的でした。この4人と仙女の大森さん、星の精たちの踊りは本当にうっとりします。あ、でも星の精たち、今日はちょっとポワントの音がドタドタとうるさかったような。ちょっと残念。

そうそう、12月の公演より少し後ろの席で奥までしっかり見渡せたせいか、はたまたイーサンに舞い上がってない冷静な状態で見たからか、初めて気付いたことがいっぱいありました。まず1幕で舞踏会に行く前、シンデレラがカボチャを舞台奥中央に置いたのはわかっていたのですが、それを仙女が上手の方に投げ入れたこと、パッと明るくなって馬車(になって)舞台に登場したことは初めて気付きました。カボチャが馬車にかわったつなぎ目がわからなかった、なんて情けない話ですけども。

でももっと情けないのは、シンデレラの父も舞踏会に出席してるのに気付いてなかったこと、ですよねぇ。仕立て屋が父親用のガウンを持って来て、おめかしして義理の姉たちと一緒に出かけたのに、舞踏会に出てるの気付かないなんて・・・石井さんごめんなさいっ!

帰り道幸せな気持ちでいられるバレエ、本当にいいなぁと思います。今度は「綺麗だ」と絶賛されている星の精たちのフォーメーションをもっと堪能するために、2階か3階で見てみようかな・・・早く再演してくださいね〜。お願いします。