2004年1月17日 東京文化会館 大ホール

クレジット

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、アレクサンドル・ゴールスキー、イーゴリ・スミルノフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー/監修・演出:ウェンデイ・エリス・サムス/美術・衣装:ニコラ・ベノワ
指揮:ミッシェル・ケヴァル/演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京文化会館

キャスト

オデット/オディール:吉岡美佳
ジークフリート王子:ロベルト・ボッレ
王妃:加茂律子
悪魔ロットバルト:高岸直樹
道化:古川和則
パ・ド・トロワ:小出領子、武田明子、後藤和雄
ワルツ(ソリスト):大島由賀子、福井ゆい、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏
四羽の白鳥:武田明子、小出領子、長谷川智佳子、川口愛美
三羽の白鳥:西村真由美、乾友子、奈良春夏
司会者:飯田宗孝
チャルダッシュ:(第一ソリスト)佐野志織、平野玲
チャルダッシュ:(第二ソリスト)太田美和、門西雅美、倉谷武史、高橋竜太
ナポリ(ソリスト):長谷川智佳子、古川和則
マズルカ(ソリスト):福井ゆい、浜野香織、後藤和雄、高野一起
花嫁候補たち:高村順子、武田明子、小出領子、西村真由美、乾友子、高木綾
スペイン:井脇幸江、大島由賀子、芝岡紀斗、後藤晴雄


感想

東バの「白鳥」も初めてです。「衣装が」とか「振付が」とかいう方々での評判を聞いて少し心配してましたが、心構えがあったからか(?)そんなでもなかったです。衣装(特に3幕)は「んー、ちょっと」と思うものもありましたが、それでも「くるみ」よりはよかったかも。

吉岡さんのオデット/オディールは、とてもよかったです。特にオデット。叙情的で静かな悲しみをたたえた動作の1つ1つが胸に迫ってきました。たおやかで柔らかな羽ばたき、日本人らしいといったら語弊があるかもしれないけれど、彼女の踊る白鳥は日本人が見てしっくりくるような気がします。黒鳥も安定した踊りでした。

ボッレの王子っぷりも大変美しかったです。少しおっとりした気品にあふれる美しい王子ですね。踊りも正確で跳躍も十分高かったし。2幕の冒頭に挿入される王子のソロはちょっと退屈な気がしましたが、ボッレの踊りはすばらしかったので彼のせいではない、だろうと思います。背の高い彼が吉岡さんをリフトすると、吉岡さんは本当に飛んでいるかのように高い位置まで上がりますね。サポートもマナーがよくて、なんというか好ましい優等生ぶりでした。

でも今回一番よかったのは、スペインの後藤晴雄さんと井脇さん。かっこよかった〜。一緒に踊った大島さんと芝岡さんも健闘してたとは思うのですが、どーしても目が先の2人を追ってしまって。井脇さんにはいつも「自分がこの舞台を引っ張っていく」という気概があって惚れ惚れするのですが、今回も艶やかにロットバルトの手先を演じていました。後藤さんは、その魅力を再発見した感じ。踊りはもちろん美しく正確、そしてセクシーでした。短いスペインの踊りをもっと見ていたい!と思ったのは初めてです。

今日の道化は古川さんでしたが、音楽に乗って気持ち良いくらいに踊りが決まってました。特に1幕。ただ・・・「道化」というには人を笑わせる部分が少なく、どちらかというと「さ、盛り上がろうよ!」と周りを持ち上げていくタイプ?あまりに無邪気でかわいらしいので、ちょっと違うんじゃ?と思ってしまいました。これは東バ版がそうなのか、それとも古川さんの持ち味?あ、でもそんな古川さん、けっこうよかったですわ。

ロットバルト、高岸さんはボッレに負けない跳躍のパワフルさで魅せてくれました。3幕の舞踏会では王妃の横に座ってオディールが王子を誘惑する様を見てるんですが、ボッレが踊る様子を目で追う姿はロットバルトとしてというより、同じ王子役を踊るダンサーとしてだったのかもしれません。

他に印象に残ったのは、パ・ド・トロワの小出領子さんと武田明子さん。彼女たちは他にも四羽の白鳥や花嫁候補も踊っていたのですが、華やかな武田さん、芯のしっかりした小出さん、やっぱりいつも注目してしまいます。武田さんは上半身の使い方も大好き。後藤和雄さんもお気に入りなので、パ・ド・トロワで見られて嬉しかったです。

難点は白鳥のみなさんたちの足音くらいでしょうか。舞台上でもそうでしたが、2幕でコール・ドの白鳥たちが退場した後、舞台に静寂が訪れたのに袖から大きな足音や話し声が聞こえたのはちょっとがっかり。あ、でも足音はどなたかが注意したのでしょうか?4幕では少し改善されていたようです。

3幕のラスト、ロットバルトの高岸さんが吉岡さんのリフトを失敗して落としちゃった(というか、持ち上げ損ねた?)のには驚きましたが、吉岡さんお怪我とか大丈夫だったのでしょうか。舞台の上の王子とロットバルトも動揺したみたいでしたが、何しろ東バの「白鳥」初めてだったので、どの辺がアドリブでどの辺が振付通りなのかよくわかりませんでした。ロットバルトはグローブをした状態でリフトもこなさなければならないので、確かにちょっと危ないですよね。

そうそう、これは舞台の話ではないのですが、3幕後の休憩に、私の後ろに座っていたマダムが友人に「(王子がオデットとオディールを)間違えるなんて信じられない!」と怒って訴えてらっしゃいました。うーん、確かにバレエのストーリーって「普通それはないでしょ」って話ばかりだけど。その友人に「でもあなたの言う通りにバレエを上演したら5分で終わっちゃうわよ」と返されていました。ナイス。