2004年7月22日 Bunkamura オーチャードホール

クレジット

原作:シャルル・ペロー/音楽:P.I.チャイコフスキー/振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/美術:エルネスト・ピニョン=エルネスト/衣装:フィリップ・ギヨテル/照明:ドミニク・ドゥリヨ

キャスト

ラ・ベル(オーロラ姫):ベルニス・コピエテルス
若者/王子:クリス・ローラント
リラの精:パオラ・カンタルポ
女王(王子の母)/カラボス:ガエタン・モルロッティ
父王(王子の父):ラモン・ゴメス・レイス
王(姫の父):ジェンス・ウェーバー
王妃(姫の父):ジョイア・マサラ


感想

映像を先に見ていたので驚くようなことはないにしても、やっぱり生で見るのは全然違うよね、当たり前だけど。バルーンが多用されていて夢いっぱいかと思えば、性的な比喩も多くて、ペローの原作の毒気を現代に置き換えるとこんな感じなのかなーと。ギヨテルの衣装はそんなに好みではないけれど、あちこちにたくさんちりばめられた「遊び」にニヤリとしつつ。そういえば映像とは少し衣装が違っているものも(クロシュの世界はモノトーンになってた気がする)。

この作品のハイライトは、ワタシ的にはラ・ベルがバルーンの中に入って登場するところからカラボスと7人の求婚者たちにバルーンを割られて、彼らと踊る場面。バルーンの中に入って登場するコピエテルスは本当に美しい。7人の求婚者たちの中には先のロメオ、ウリアゼレカくんもいて、ついついそちらに目がいってしまう。

バルーンを割られたラ・ベルは、そこで初めて他の人間の体温というものを知るのだよね。だから、彼女を破滅させる目的で近づいてきたカラボスが最初に彼女の肩に手をかけた時、他人の手の感触と体温とを知ったとまどいと怖れとの後にすっごく嬉しそうな顔をする。一緒にいる7人の求婚者たちも言ってみれば性的欲求を満たす目的で彼女の前にいる訳だけど、人と触れ合う幸せを知ったばかりのラ・ベルはその悪意に気付かない。だんだんとそれに気付き、怖れて拒否する訳だけど・・・コピエテルスが圧巻。

1幕のラ・ベルの親である王たちが自分たちに子供ができないで苦悩するのも現代的な問題を内包してると思うし、16歳になるまで親がつくったバルーンの中で生きるラ・ベルというのも象徴的。性的な攻撃とか身内からの虐待とか、ホントに現代の毒を盛り込んであるのにひたすらに重くならないのは(ま、多少はどんよりとしてるんだけど)晴れやかな音楽とギヨテルの衣装、そしてマイヨーの才覚でしょーか。

コピエテルスとローラントが素晴らしいのはもちろんのこと、リラの精(=パオラ・カンタルポ)の表現がとてもツボ。そういえば、ロメジュリでティボルトを踊ったジェンス・ウェーバーがラ・ベルの父王だったけど、ぜーんぜん印象が違ってた。確かにあの衣装じゃ踊りにくいだろうしメイクもアレでしたが・・・別人のよーだよ。