ウラジーミル・マラーホフ

著者:インゲボルグ・ティヒー=ルーガー
訳:後藤まの
発行:(2005.03)

原書は2002年にウィーンで自伝として出版されたものなんですね。子供の頃から2002年当時、つまり、ベルリン国立歌劇場バレエの芸術監督になり、マリインスキー劇場で初めて踊った頃までのことが、マラーホフの一人称で書かれた本です。

実際に書いたのはティヒー=ルーガーさんであるにしろ、それらのことを著者に語って聞かせたのはマラーホフ自身。印象的なスーザン・ジャフィーとの出会いのエピソードや、ターニングポイントになった時間・場所の雰囲気の描写。マラーホフの感受性の豊かさが伺われて、まるでマラーホフと一緒にその場にいるような気持ちになります。訳者である後藤まのさんの力も大きいかもしれませんね。彼が一緒に仕事をしてきたダンサーや振付家たちとの関わり、踊った作品のこと・・・。聞かれた質問に答えるインタビューとは違うトーンで書かれた文章は、とても新鮮でした。それに、私が知らなかった、マラーホフが西側で踊ると決めてからしばらくの間のことなども知る事ができたのもよかったです。

付録として、最近とられたと思われるマラーホフのお母さんのインタビューと、イルギス・ガリムーリン/成澤淑栄夫妻のインタビューつき。全部モノクロのハードカバーですが、子供の頃からの写真がたっぷり収録されています。ボリショイバレエ学校時代の脚の長さったら!もちろん今もプロポーションはよいのだけど、子供の頃は際立っていたのではないかしら。マラーホフのご両親に、彼を生んでくれて、バレエの道へ進ませてくれてありがとうと言いたくなりました。