2006年1月8日マチネ 新国立劇場オペラ劇場

クレジット

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ/音楽:P.I.チャイコフスキー/改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ/監修:ナターリヤ・ドゥジンスカヤ/美術・衣装:ヴャチェスラフ・オークネフ/照明:梶孝三
指揮:渡邊一正/演奏:東京交響楽団

キャスト

オデット/オディール:寺島ひろみ
ジークフリード王子:貝川鐵夫
ロートバルト:市川透
王妃:鳥海清子
道化:八幡顕光
<1幕>
家庭教師:ゲンナーディ・イリイン
王子の友人:高橋有里、さいとう美帆、グリゴリー・バリノフ
ワルツ:湯川麻美子、厚木三杏、西川貴子、川村真樹、江本拓、冨川祐樹、中村誠、冨川直樹
小さい4羽の白鳥:遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きい4羽の白鳥:真忠久美子、西川貴子、川村真樹、寺島まゆみ
<2幕>
花嫁候補:真忠久美子、厚木三杏、西山裕子、川村真樹、本島美和、内冨陽子
スペインの踊り:湯川麻美子、楠本郁子、マイレン・トレウバエフ、中村誠
ナポリの踊り:さいとう美帆、江本拓
ハンガリーの踊り:遠藤睦子、冨川祐樹
マズルカ:西川貴子、北原亜希、杉崎泉、堀岡美香、陳秀介、高木裕次、冨川直樹、澤田展生
<3幕>
2羽の白鳥:厚木三杏、川村真樹
大きい4羽の白鳥:湯川麻美子、真忠久美子、西川貴子、楠本郁子


感想

「白鳥」初主役ペア、大いに期待して見に行きました。なにしろ2人はワガノワ・バレエ学校留学時代にペアを組んだりもしていますし、だいたいワガノワスタイルの白鳥というだけで私のツボなんだから期待するなという方が無理ってものです。

最初に登場した貝川さんのジークフリードはきれいな王子でした。惜しむらくは気を抜くとつま先がきれいじゃなくなる&王子じゃなくなること。これはもったいなかった。成人前夜の王子という感じはすごくあって、「明日お妃を選ぶなんてイヤだなー」っていう憂鬱さと「でも遊んじゃえっ」という若さがとても現代風。加えて気だての良さがあって、素直に育った青年なんだろうなーという感じ。最初は固くなってたのか踊りも少々不安定でしたが、幕を追うごとに調子があがっていったようでした。

道化の八幡さんはやっぱりまだちょっと表情が固め。彼なりにコミカルに演じていたとは思うのだけど、吉本さんやバリノフくんを見慣れた観客には表情が乏しいように見えちゃうのね。でも、これは舞台に立ち続けないと会得できない種類のものだと思うので、今後に大きく期待しています。なんたって踊りの美しさは絶品だからねー。高橋/さいとう/バリノフのパ・ド・トロワは新国の黄金律。見られて幸せ、言う事なしです。

さて湖畔の場面。オデットの出のところ、音楽が盛り上がるのと一緒にこちらの心臓もバクバク。周囲のお客さんがみんなオペラグラスを構えてじっと一点に集中してるのがわかります。そして出てきた寺島(ひ)オデット。はかなげな白鳥になるんだろうなーと思っていましたが、意外に力強さのある白鳥。んとねー、1つだけ難を言わせてもらうと、アームスの動きがちょっと雑だと感じてしまいました。初役でそこまで要求してはいけないのかもしれないけど、いつも公演で見る彼女のアームスは柔らかい動きという印象があるんですよね。だからきっと白鳥ならどんなに素敵かと期待していた訳です。その動きを「自由への渇望」と取ることもできるけど、彼女ならもっと高いレベルで美しい白鳥を踊れるハズ。だから次回はもっと期待しています。がんばれ。

寺島さんは32回転フェッテが終わるまでずっと、緊張して固さがとれなかったように見えたのですが、このフェッテが終わったところでドカンと解放されたようです。最後のコーダでの嬉しそうなお顔は忘れられません。(そして、このとき舞台上にいたダンサーたちがほとんど素で嬉しそうな顔になっていたのも、何となくジーンときたりして。市川ロートバルトも嬉しそうだったもんね・笑)。総じてオデットの方が彼女らしかったと思いますが、オディールも下品にならず、意外と彼女に合っていました。貝川さんともバランスがよくて、いいペアだと思います。

白鳥たちでは、目がいくのはどうしても川村さん。きれいに踊る人だなーと思ってよく見ると彼女なの。もっとずっと見ていたかったです。4幕の2羽の白鳥は厚木/川村の私の大好きなツートップだったので、至福の時でした。この2人のオデット、見たいなー。市川さんのロートバルトは、いつも思うのですが、もっとハジける演出にしてあげたらいいのに。彼はそういう要素があると思うのに、もったいないなーと毎回思います。彼はゲストの回より身内と踊る方が持ち味が出るので、この回はよい感じでした。

スペイン軍団は湯川、楠本、トレウバエフ、中村誠。出てきた時に「あー、そういえば去年は山本王子が1日だけスペイン踊ったよねー、かっこよかったなー」と思い出しましたよ。中村さんのスペインが意外にも(って失礼か)ハマってかっこよかったです。今、ノリにノってるって感じですね。

オケというか、音楽のテンポが微妙に踊りにくそうでしたが、全体にはよい舞台だったと思います。もっと拍手をたくさんしてあげたかったけど、新国にはめずらしいマチソワの日だったので、カーテンコールが短くて残念。それと、私も都合で他のキャストを見られなかったのがとっても残念です。超良席ばかり取れていたのになー(泣)。