Side Ballet Eyecatch

「ドン・キホーテ」第11回世界バレエフェスティバル全幕特別プロ(2006/07/29)

2006年7月29日 東京文化会館 大ホール

クレジット

原作:ミゲル・デ・セルバンテス/原演出・振付:マリウス・プティパ/改訂演出・振付:アレクサンドル・ゴールスキー、ロスチスラフ・ザハーロフ/新演出・振付:ウラジーミル・ワシーリエフ/音楽:レオン・ミンクス、アントン・シモーヌ、ヴァレリー・ジェロビンスキー、リッカルド・ドリゴ、ユーリ・ゲルバー、レインゴリド・グリエール、エドゥアルド・ナプラヴニク/引用振付:アレクサンドル・ゴールスキー、カシアン・ゴレイゾフスキー/舞台美術:ヴィクトル・ヴォリスキー/衣装:ラファイル・ヴォリスキー
指揮:アレクサンドル・ソトニコフ/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団/協力:チャイコフスキー記念東京バレエ学校

キャスト

キトリ/ドゥルシネア姫:タマラ・ロホ
バジル:ホセ・カレーニョ
ドン・キホーテ:芝岡紀斗
サンチョ・パンサ:飯田宗孝
ガマーシュ:古川和則
メルセデス:大島由賀子
エスパーダ:高岸直樹
ロレンツォ:平野玲
2人のキトリの友人:小出領子/長谷川智佳子
闘牛士:大嶋正樹/中島周/野辺誠治/辰巳一政/長瀬直義/宮本祐宣/横内国弘/田中俊太郎
若いジプシーの娘:井脇幸江
ドリアードの女王:西村真由美
3人のドリアード:乾友子/高木綾/田中結子
4人のドリアード:森志織/福田ゆかり/佐伯知香/村上美香
キューピッド:高村順子
ヴァリエーション1:小出領子
ヴァリエーション2:長谷川智佳子


感想

会場中を「いよいよバレエフェスがはじまる!」という期待と高揚感が渦巻いていたと思います。「ドンキ」という演目のせいもあると思いますが、客席の反応がとてもよくて、ダンサーたちも踊っていて気持ちよかったのではないでしょうか。

ロホは、まず回転の軸が全くブレない。どれだけくるくる回っても、いつも身体の軸はまっすぐなの。あとバランス。さすがお祭り!というくらいキープしてくれて、特に3回目は微動だにせず「決まった!」というか「入った!」というか、魅せてくれましたね。演技面でも、キトリという役に対しても無理にお転婆だったり気が強い娘という風に演じすぎることがなく、とても自然でした。ドン・キホーテの大仰な賛辞にも、丁寧にご挨拶しているのが好印象。バジルへの当てつけにキホーテの賛辞を受け取るキトリが多い中、ロホ@キトリはそんな風に扱ってもらうことが嬉しかったようで(オープニングで初めてキホーテが賛辞を示した時に「私?嬉しいっ」と顔がぱっと明るくなった)、キホーテに対する敬意が感じられました。平野ロレンツォは娘のしつけには厳しかった?

下半身と背中が強いんだろうなーと思う反面、跳躍系は少し重そうでした。背中が思ったほど柔らかくないのか、それとも多少痛めたりしているのだろうか?とも感じましたが、どうなんでしょう。ドルシネアで出てきた時はバテてたかも。イタリアンフェッテの1回目で軽く足をついちゃったし。クラシックチュチュで踊るあの場面よりもキトリとして踊る部分の方が好みでした。

カレーニョは優しく包み込む兄系バジル。彼のエレガントな部分がそう見せるのでしょう。他のダンサーがやったら鼻につくかもしれない超絶技巧の見せ場も、さりげなく目立ち過ぎないようにでも確実にすごいことをしてくれちゃうので「俺オレ感」がないの。かつ、フェロモンも振りまいてくれる大人のバジルでした。もしかするとカレーニョも背中かどっかが絶好調ではなかったのかもしれないなーとも感じたのですが、回転系の美しさで観客を魅了していました。出過ぎたところのないバジルなのに、思い返すとすごーく印象に残っているところが、彼の素敵なところ。

東バ陣では芝岡キホーテ、飯田サンチョ、古川ガマーシュ、高岸エスパーダ、それに井脇ジプシーの当たり役組の存在感が見事。高岸さんはすごく気合いが入っていてビシビシ踊ってました。カレーニョと並んでも全く見劣りしないエスパーダはさすが。飯田サンチョはなるべくいつまでも踊っていただきたいです。古川さんのガマーシュは、終幕のカレーニョとの回転合戦が最高でした。彼のガマーシュは本当に好きで、あと1つ、彼だけを見る「目」がほしくなります。たっくさん小芝居してくれてるのに、なかなか見られないんだもの。井脇ジプシーが出てくると会場の空気がさっと引き締まりますね。この場面は脇にいるバジルとキトリの小芝居も気になるんだけど、井脇さんが踊ってる間だけはどうしても目が離せない。この時も目がもう1つほしい。芝岡さんはきっと、自分が舞台にいるうちにキホーテ人形が風車から落ちてきてすごくびっくりしただろうと思います(笑)。

大島由賀子さんのメルセデスは母性の人という感じ。踊りには全く言うことがないけれど、個人的な好みとしてはメルセデスには「自分の人生は自分で引き受ける」覚悟というか芯の強さが肩と背中に漂ってほしいの。大島さんの持ち味はあの柔らかさと暖かさだから、彼女がキャスティングされたということは「大島さんなりのメルセデス」を作ってくれるだろうという期待がかかっているのでしょう。ぜひ踊りこんで、その大島メルセデスをつくりあげてほしいと期待しています。

キトリの友人、小出さんはある種の風格を漂わせるようになりましたねー。安定しているのでいつ見ても満足するし、見るたびに好きになります。長谷川さんは軽い踊りの人だと思うのでこの役は向いているハズですが、昨日見た感じではちょっと固かったかな。見ている側に幸福感を与える「友人」目指していただきたいですー。

ロレンツォ平野さんは、んー、他の役で見たかったところですがお芝居は上手でした。「娘を金持ちに嫁がせる!」と鼻息の荒いロレンツォというよりは「娘の幸せを考えて金持ちに嫁がせる」風。そして東バの華、闘牛士やジプシーたち、かっこいいですー。彼らを見ると東バが好きだーとしみじみ感じます。特にエスパーダを先頭に踊りまくるジプシーの場面は最高。その中でも目を引くのはやはり大嶋正樹さんと中島周さんね。飛び抜けてます。

ドリアードの西村さんは元々の踊りの美しさに加えてたおやかさが出て来たので、本当に見事な出来映えでした。夢の場ではロホより光っていましたよ。キューピッドの高村さんもいつも通りジュテが高くて軽い踊りを楽しませてもらいました。小さなキュービッドたち以外はほとんど靴音がしなかったのも、この夢の場の美しさを盛り上げてくれていました。

と、思いつくまま書いてみましたが、やっぱり東バのドンキは楽しい!ですね。カンパニーのみなさんは短期間にドンキ、白鳥、ジゼルと踊らなければいけないので、クオリティを保つのが大変だと思いますが、がんばって踊りきってくださいねー。私も、残念ながらガラは見られそうにありませんが、日本にいることを幸福に思いながらフェスを堪能しようと思います。

Track Back [1]

バレエフェス全幕プロ「ドン・キホーテ」7月29日

祝祭の開幕にふさわしい、胸躍る楽しい舞台でした。観客とダンサーのフェスティバルへの期待が東京文化会館にはあふれていたのではないでしょうか。 キトリ・... 続きを読む

Comments [2]

No.1

私も思い切り楽しんだ、幸せな舞台でした。
「期待と高揚感が渦巻いていた」のをひしひしと感じましたね。
大島さんのメルセデスとか、西村さんがロホより光っていたとか、とっても同感です。
そして本当に目がいくつも欲しいですよね!
TBさせてくださいね。

No.2

ほみさん、コメントとTBありがとうございました!
この感想blogには初コメントと初TBだったので、とても嬉しかったです。早速こちらからもTB返させていただきました(^^)

東バのドンキは最初の街の場面で、タンバリンと手拍子がパン!パン!と全くずれることなく響き渡るのが爽快ですよね。これから楽しいものが見られる!とわくわくします。

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プロフィール

ゆう:ただいま劇場通いはお休み中。その間もバレエから離れられずブログ更新していましたが、そちらも現在は滞りがち。どちらも元に戻れるかどうか自分でも心配…。

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