2006年8月11日 東京文化会館 大ホール

クレジット

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団/ピアノ:高岸浩子

第1部

「ディアナとアクティオン」

振付:アグリッピーナ・ワガノワ、音楽:チェーザレ・プーニ
ヴィエングセイ・ヴァルデス/ロメル・フロメタ(キューバ国立バレエ)

ヴァルデスは今日もバランスで見せ、ピルエットしながら斜め方向へ進んでいく技で会場を湧かせの大活躍。アームスの使い方は意外にも柔らかいんですね(Aプロでは気付かなかった)。フロメタくんのサポートこそが絶品で、だからこそ彼女のバランスは更に最強になるのでしょうねぇ。フロメタくんのヴァリも超絶技巧を入れておりましたが、これ見よがしじゃなくて品があるのね。ノーブル系の役所でも見てみたいな。

「リーズの結婚」

振付:フレデリック・アシュトン、音楽:フェルディナン・エロール
エレーナ・テンチコワ/フィリップ・バランキエヴィッチ(シュトゥットガルト・バレエ)

テンチコワかわいかったです。リーズは彼女のキャラに合っていると思う。バランキエヴィッチはオネーギンよりこっちの方が合っていた、のかしら。フェスに持ってくるには少し地味かと思うのですが、バランキエヴィッチはシュツットガルト・バレエにおけるこの役の初演キャストなんですって。彼にとっては代表作なのかな。前回は短いヴァリだけだったので、パ・ド・ドゥを見られたことは嬉しかった。作品については、語れるほど見ていないので。

「幻想−『白鳥の湖』のように」第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ジョエル・ブーローニュ/アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

ブーローニュがとてもよくて、彼女に感情移入して見てしまいました。最後に絶望する場面の差し出した手の空しさといったら。リアブコのルードヴィヒ2世は熱いですね。リアブコはとても好きなダンサーではあるけれど、この役としては個人的にはもう少し体温低めな方が好きかもしれない。あとはやっぱり、影は誰かいてもらった方がいいなー。


「海賊」

振付:マリウス・プティパ、音楽:リッカルド・ドリゴ
イリーナ・ドヴォロヴェンコ/ホセ・カレーニョ(アメリカン・バレエ・シアター)

カレーニョのアリはセクシーで優美、何度見ても嬉しい。でもさすがにちょっとお疲れ気味?とも感じたのですが、こちらが多くを期待してしまうせいかしら。イリーナは薄いブルーのチュチュが本当に綺麗で本人の美しさと相まってひれ伏しそうになりました(笑)。正確で音楽をきちんと使った踊りは本当に好き。でも私の中のイリーナの印象からすると少々アピール過多な印象もあったのですが、それはもしかすると、ひたすらノーブルなアリが横にいたせいかも。カーテンコールで最後に引っ込む時のカレーニョのポージングが毎回ツボだった。

第2部

「ロミオとジュリエット」より "バルコニーのパ・ド・ドゥ"

振付:レオニード・ラヴロフスキー、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マイヤ・マッカテリ(コロラド・バレエ)/デヴィッド・マッカテリ(英ロイヤル・バレエ)

うーん、何だろう?二人のテンションとか恋する温度が違うせいか(こっちも『兄妹だもんね』と思いながら見てるし)、ロマンティックなパ・ド・ドゥなのに入り込めなかった。妹は若さのほとばしるジュリエットだから、同じテンションで踊るダンサーの方が合うんじゃないかな?2人とも踊りは美しかったと思いますが、ドラマは受け取れなかったような。

「カルメン」

振付:アルベルト・アロンソ、音楽:ロディオン・シチェドリン
ガリーナ・ステパネンコ/アンドレイ・メルクーリエフ(ボリショイ・バレエ)

ステパネンコのカルメンはにこやかで柔らかで、、、私はもっとジリジリとホセを挑発するカルメンを想像していたので、ちょっと意外でした。メルクリエフはフューシャピンクに黒の大きめ水玉模様のシャツで登場したのでびっくり。あのヴァリは、カルメンが誘惑する伍長ホセではなくて、もっと後のやさぐれちゃったホセ?彼も腕の動きが柔らかいので(王子が見たいよー)、ステパネンコの柔らかさと相まって、今まで見たどのカルメン組曲とも違う味わいになっていました。それが正しいかどうかはわからないけど、私は嫌いじゃなかったな。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー(英ロイヤル・バレエ)

コジョカルとコボーの組み合わせはとっても好きなんだけど、、、私はこの2人のこの演目はアクセントの付け方があざとく感じてしまって、あまり好きになれませんでした。コボーのヴァリの振付がずいぶんかわっていましたが、もしかしたらあれってピーター・マーティンスがデンマーク時代に踊っていたのと同じかも?いや、全く確信・自信はないのですが、マーティンスのヴァリをドキュメンタリーで見た時も「あれ?振り違うよね」と思ったので。機会を見て確認しようと思っていますが、その頃にはコボーの振りを忘れていそうだ(笑)。コボーで妙にツボだったのは、プロムナードのサポートとかで後ろを向く前に、客席を見てにっこり笑うところ。いい人感たっぷり。

「白鳥の湖」より "黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ(ベルリン国立バレエ)/フリーデマン・フォーゲル(シュツットガルト・バレエ)

セミオノワのオディールは技術的に高い水準だと思う。邪悪オーラいっぱい。きっと、あっという間に「演技してますっ」を卒業して、もっとすごいオディールを見せてくれちゃうんでしょうね。今の彼女にはオデットの方が似合う気がするので、そちらも見てみたかったな。フォーゲルくんはサポートでいっぱいいっぱいになっていました。好きなのでバッサリは切れません(笑)。が、ポリーナとドラマが作れてなかったし、踊りの方もこの演目では2人の質感が違っていたのは残念。いずれにしても、あの若さでポリーナが堂々と舞台をひっぱっちゃうのは見応えたっぷりでした。

第3部

「眠れる森の美女」

振付:マリウス・プティパ、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ルシンダ・ダン/マシュー・ローレンス(オーストラリア・バレエ)

白地に金の刺繍が割と控えめに入った衣装の2人。踊りはところどころ独自のものになっていましたが、あれはオーストラリア版なのかな。とても安定して音楽的なペアで、ちゃんと踊りがシンクロするんだよねー、腕の角度からリズムからぴったり。派手じゃないけど見ていて幸せになるペアでした。特にルシンダ・ダンのオーロラ姫は「3幕オーロラかくあるべし」な見事さ。

「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座バレエ)

ルグリはホントにアルマンの衣装が似合う。オーレリの白ドレス姿も美しくてため息。2人がつむぎだす世界に酔いました。全幕で見たい〜。が、もしかしてどっちか不調だったのでは?リフトがとっちらかっていて、かなりハラハラしました。(ガラで、オーレリが膝を怪我していて、という話があったそうなので、そのせいかしら)

「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"

振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)/ウラジーミル・マラーホフ(ベルリン国立バレエ)

アニエス/ジョゼと同じ演目とは思えない、ドラマを感じました。ダイヤモンドにこんなに引き込まれたのは初めてだと思う。息を詰めて凝視しちゃいました。ヴィシニョーワは王者の風格。衣装のボディスがベージュっぽくて「なぜ白じゃないの?」と最初はがっかりしたのですが、すぐにそんなのどうでもよくなっちゃった。これ、もう1度見たかったな。

「孤独」

振付:モーリス・ベジャール、音楽:ジャック・ブレル/バルバラ
ジル・ロマン/那須野圭右(ベジャール・バレエ)

白い打ち掛けを羽織った那須野さんと共演。いちおうBプロ前に「ブレルとバルバラ」DVDを1回見たのですが、ジル・ロマンはブレルが大好きなんですってね。なので、バルバラよりブレルの歌で踊る時の方がよりエモーショナルだったように感じてしまいました。先入観かしら。歌詞の意味はわからなかったけど、Aプロより心に迫るものがありました。どこだかわからないけど(^^;) 私の心の琴線に触れるものがあったらしく、気付いたら涙が落ちてた。自分でびっくり。

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:フレデリック・ショパン
シルヴィ・ギエム(英ロイヤル・バレエ)/ニコラ・ル・リッシュ(パリ・オペラ座バレエ)

この2人は「踊れちゃう」感(ってわかりにくいですよね、余裕で振りをこなせる身体能力というべきかな)が振付を軽く凌駕していて「やっぱりすげー」というのが最初の感想。でも、その余裕が、ドラマの緊迫感を削いじゃったかな。決してサラっと踊っている訳ではないのだけど、感動に胸打ち震えるという訳にはいきませんでした。でも、2人の踊りはやっぱり頭に焼き付いている訳で、これから先にも見る機会があるに違いないこのパ・ド・ドゥに接した時、きっとこのペアの踊りも残像が浮かんだりするんだろうな。

第4部

「ドリーブ組曲」

振付:ジョゼ・マルティネス、音楽:レオ・ドリーブ
アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス(パリ・オペラ座バレエ)

前回のフェスでアダージオしか見られなかったので、今回ようやくパ・ド・ドゥ全部を見ることに。ジョゼによるドリーブの音楽とプティパの振付へのオマージュかな。アダージオが終わって、アニエスが目線でジョゼを舞台袖に追いやって(笑)、自分で先にヴァリを踊ろうとしたのを見て真面目にびっくりした(笑)。すぐにジョゼが出て来て男性ヴァリになるんですけど、こういう「固定観念」を揺さぶる視点はいいな。面白かったのはジョゼの反対回転マネージュ。そこに重なってアニエスもくるくる。

「三人姉妹」

振付:ケネス・マクミラン、音楽:チャイコフスキー 編曲:ギャモン
タマラ・ロホ(英ロイヤル・バレエ)/イナキ・ウルレザーガ(オランダ国立バレエ)

ウルレザーガ、私が今まで見た彼の踊りの中では一番よかったと思う。ロホもちゃんとマーシャだったし。ただ、この別れの場面での感情の行き来はあまり汲み取れなかったかなー。ぼーっと見ちゃったせいもあると思うんですけどね。集中力が途切れちゃってたし。

「マノン」より "沼地のパ・ド・ドゥ"

振付:ケネス・マクミラン、音楽:ジュール・マスネ
アレッサンドラ・フェリ(アメリカン・バレエ・シアター、ミラノ・スカラ座バレエ)/ロバート・テューズリー

フェリとテューズリーはマノン全幕を一緒に踊っているせいか、「カルメン」よりずっとバランスがとれたペアになっていました。フェリのマノンを見るのは最後になりそうだという認識もあって、途中からずっと泣きっぱなし。マノンが死んでしまったと気付くところのデグリューの一連の表現、テューズリーのそれがまたツボで。テューズリーと組むと、フェリはひょひょいと持ち上げられちゃうので余計に瀕死な感じがあるんだよね。ドラマティックで、「ドンキ」が始まってもしばらく沼地から戻ってこられませんでした。

「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ、音楽:レオン・ミンクス
レティシア・オリヴェイラ(ヒューストン・バレエ)/ズデネク・コンヴァリーナ(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)

オリヴェイラは扇を使ったヴァリ。プレゼンテーションの上手いダンサーですよね。コンヴァリーナくんは、残念ながら今回一番印象の薄いダンサーになっちゃったなぁ。「ドンキ」の間も沼地を漂っていたので、あまり盛り上がれなかった。カーテンコールでオリヴェイラの扇を奪って行くコンヴァリーナ、というのは楽しかったけど。

フィナーレの途中でササキサーンが登場し、花束贈呈と手ぬぐい投げ。私にとってのバレエフェス ガラ部門はこの日でおしまいだったで、ダンサーたちにいっぱい感謝の拍手をしてきました。A/Bプロを比較すると、Bプロの方がガラとしての構成はよかったと思うんですが、個人的にはAプロの方が印象に残るパ・ド・ドゥが多かったかも。ジゼル前に書けるだけ、と駆け足で書いたので、また思い出したら追記しようと思っています。