ヌレエフとの密なる時

著者:ローラン・プティ
訳:新倉真由美
出版社:新風舍(2006.11)

本の薄さと紙質とで、かなり軽量の本になっています。ほとんどの文庫本より軽いんじゃないだろうか(笑)。持ち歩きが気にならないサイズとも言えるかな。

本書の帯には本邦初訳とありますが、このプティのオリジナルテキスト「Temps Lies Avec Noureev」は音楽之友社「Ballet」(当時 隔月刊)の2001年1月号(Vol.17)から11月号(Vol.22)まで6回に渡って「ヌレエフとの結ばれた瞬間(とき)」として藤原敏史氏の訳で連載されておりました。雑誌連載という形式のため、挿絵や写真がレイアウトされていて、ボリュームを感じます。

本書の方は挿絵や写真はありませんが、その分(?)レイアウトの余白がたっぷり取られているので読みやすいです。訳の感じも女性的で細やかな文章。たぶんプティの原文が散文的なのかなーという気もするのですが。ヌレエフの人生にはスキャンダラスな部分が多々ありますが、それらについての記述もオブラートに包んだような印象。全体に、ヌレエフとの友情を美しい文章で、というコンセプトなのでしょう。前述の藤原氏のものはもう少しダイレクトに意味が入ってくる男性的と言える訳文でした。

プティの回想であって暴露本ではないので、当時の状況について詳しい説明がある訳ではありません。裏話的なものを期待して読むと肩すかしかもしれないし、当時のことを知っている人でないと話が分かりにくいかなーという気はします。それでも、プティのヌレエフへの友情の気持ちとヌレエフのプティへの友情の表し方は当人しかわからないものです。いかに彼らが深い絆で繋がれていたか、それゆえの諍いも含めて、密度の濃い関係が浮かんできます。