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著者:マーゴ・フォンテーン
訳:湯河京子
出版社:文化出版局 (1983/01)

オリジナルは1975年に英国で出版されたフォンテーンの自伝で、それは彼女が引退する2年前のことであったようです。少し前にシアターテレビで放映された彼女の最新のドキュメンタリーが、彼女が残したかった姿ではないだろうなと気の毒に思える赤裸々さだったので、「フォンテーンが残したかった自分の姿」を知るべく自伝を買って読んでみました。絶版ですが、amazonのマーケットプレイスや楽天フリマなどで手には入ります。

印象としては、やはり優等生的な、それが却ってとぼけた味に感じられるような自伝となっていました。先に上のドキュメンタリーを見ていなければ、何も感じなかったと思うのですが、やはりどこか違和感があって・・・映像の影響力は大きいですね。

一人の女性として、一人のバレリーナとして、そのどちらとしても書きたかったことがあったのだと思いますが、他人との関わり具合をあけすけに書くような時代の人ではないんですよね。たとえばアシュトン、例えばド・ヴァロワ、例えばティト(ご主人)、その誰もに対して敬いと慎みを持ってエピソードを書く訳ですからあまり踏み込んだものはなかったように思います。そういう時代、そういう人だったということなんでしょう。

バレリーナを引退する前に書き終えた本ということで、パナマでの生活についてはほとんど触れられていません。引退後に彼女が何を思いながら暮らしていたのか、それも知りたいような気がするのですが。なお洋書では2005年に出版された「Margot Fonteyn : A Life」というMeredith Danemanの本が出ています。内容はわかりませんが、どちらかといえばたぶん赤裸々系だろうと思います。