2006年12月5日 東京文化会館

クレジット

音楽:アドルフ・アダン、チェーザレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、パーヴェル・オリデンブルクスキー/振付:ピョートル・グーセフ/原台本:アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ、ジョゼフ・マジリエ/台本改訂:ユーリー・スロニムスキー、ピョートル・グーセフ/装置:テイムラス・ムルヴァニーゼ/デザイン補佐:ミハイル・シシリヤンニコフ/衣裳:ガリーナ・ソロヴィヨーワ
指揮:アレクサンドル・ポリャニチコ/管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

キャスト

コンラッド (海賊の首領):エフゲニー・イワンチェンコ
メドーラ (ギリシアの娘):ウリヤーナ・ロパートキナ
ギュリナーラ (ギリシアの娘):オレシア・ノーヴィコワ
ランケデム (奴隷商人):ミハイル・ロブーヒン
ビルバント (海賊):ドミートリー・プィハチョーフ
アリ (海賊):イーゴリ・ゼレーンスキー
セイード・パシャ (トルコ総督):ウラジーミル・ポノマリョーフ
フォルバン:エレーナ・バジェーノワ/ポリーナ・ラッサーディナ/リーラ・フスラーモワ/イスロム・バイムラードフ/アンドレイ・ヤーコヴレフ
オダリスク:イリーナ・ゴールプ/ダリア・スホルーコワ/エカテリーナ・オスモールキナ
アルジェリアの踊り:エレーナ・バジェーノワ
パレスチナの踊り:ガリーナ・ラフマーノワ


感想

考えてみたら、ロシアの「海賊」を生で見たのはこれが初めてでした。今までABT版しか見た事がなかったの。マリインスキー版は、まず装置が豪華で圧倒されました。特に花園でロパートキナが出て来た瞬間の噴水!作品そのものは娯楽作品だけど、格式があってゴージャス。堪能しました。

プロローグと浜の場面は紗幕の向こう側。ギリシアの娘たちの先頭で登場するギュリナーラ役のノーヴィコワは前日の「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」では評価が難しいダンサーだと思ったのに、今日は別人のよう。踊り慣れているのでしょう、とても元気で輪郭のはっきりしたギュリナーラでした。ま、もう少し柔らかな方が好みではありますけど、これも彼女の個性として楽しみました。その後登場したロパートキナ、もう他のお嬢様方とは格が全く違います。ギュリナーラとも友人には見えません。踊りの質も全然違うので「価値観が合わなそうな2人だなー」と苦笑。姫君と女官とか、そんな感じでした。

正直メドーラを踊るロパートキナってあまり想像できなかったのですが(だからこそ「見ておかなきゃ!」と思った訳で)、とても素敵でした。高貴な姫なんだけど、コンラッドにメロメロなのがかわいいの。ガラの時のカーテンコールでもよく見られたポーズですが、パートナーの方に身体を向けて肘から指先まで相手の身体に預けて寄り添うでしょう?あのポーズでコンラッドに寄り添うのが愛と信頼の表れのようでとても素敵でした。さすがにちょっとお疲れだったのかなと思う部分もありましたが、衣装替えも多く、いろんなロパートキナが見られたのは嬉しかったです。圧巻は花園で、ロパートキナとノヴィコーワだけでなくコール・ドの隅々まで美しくて堪能しました。これがマリインスキーの底力なのね。

コンラッド役のイワンチェンコ、ガラの「ライモンダ」では印象が残らなかったのですが(ジャンという役はそういうものかもしれないなー)、コンラッドはいい!海賊の首領としては品がありますが、だからこそメドーラが惚れたのだと思える。ビルバント役のプハチョフはマールイのプハチョフのお兄さんなんですってね。この日は会場に弟が嫁と一緒に見に来ていました。踊りのラインが綺麗ですねー。生き生き楽しそうに踊っていたのも好感度高し。ただ、あのフォルバンはもう少し元気があってもよい気がしました。マリインスキーの特質、なんでしょうかね。ランケデムのロブーヒンは、演技も達者でいい味出していました。奴隷のパ・ド・ドゥでギュリナーラのヴェールが外れちゃったのは彼がひっかけちゃったのかな?ロブーヒンとノヴィコーワのペアは「脚力自慢 技自慢」ですね。

そしてアリ役のゼレーンスキー。奴隷っていうより若頭か用心棒みたいでしたが(笑)、やっぱり踊りは美しい。パ・ド・トロワのリフトも1度だけであとはイワンチェンコに任せていたし、ヴァリエーションもセーブして踊っているようではありましたが、それでも彼が舞台にいるのといないのでは空気が全然違う。踊ることを選んでくれてありがとう、と感謝の気持ちです。

オダリスクはゴールプ、スホルーコワ、オスモールキナの順。やはりオスモールキナが一番好み。スホールコワは「ばらの精」では気付かなかったけど手脚が長いダンサーですね。とても綺麗に踊っているけど、時々雑さが目につくのが残念でした。ここが直ればかなり好きなダンサーになる気がする。

舞台はとても楽しかったのに、オケは最悪でした。先週のベネフィスはとても良かったのに、一体どういうことでしょう?もうちょっとがんばってくれないと、「白鳥」が思いやられる・・・何の為にオケまで帯同しているんだか。