In the Company of Stars: The Paris Opera Ballet

写真:Gerard Uferas
発行:Flammarion (2007/4/30)
商品の寸法:33 x 25 x 2.2 cm

とても美しい写真が満載です。

ただし、ここに収められた写真は、ダンサーのピンナップフォトでも作品を紹介するような舞台正面からの写真でもありません。バックステージやリハーサルルーム、舞台袖からステージの一瞬/一部を切り取ったものが多く、Gerard Uferas氏の感性が色濃く反映された芸術写真と言ってよいのではないでしょうか。

撮影されたのは2003 -2005年で、ヌレエフ版「眠れる森の美女」、バウシュ版「オルフェオとエウリディーチェ」、ベラルビ「嵐が丘」などからの写真が使われていますが(2005年の愛知万博公演の写真も)、彼が切り取っているのは「作品の世界」ではなく「ダンサーがつくりだす空気や波動」であるように思います。

パリ・オペラ座のダンサーが被写体ではあるけれど、彼らの顔がはっきりくっきり写ったものも決して多くはありません。特にプリンシパルは拍子抜けするほど少なくて、あえて匿名性を与えているようにも思えました。

だとしても、他のバレエ・カンパニーではこのような写真は撮れなかったでしょう。そこにいるのは間違いなくパリ・オペラ座バレエのダンサーたちで、踊っているのはカンパニーが誇るレパートリー。例えそれが顔がほとんど見えない写真でも、そこにはパリ・オペラ座の伝統であるとか、ダンサーのヒエラルキー、ガルニエ宮やバスティーユの空気など、ダンサーたちが背負ったものまでもが切り取られていると思えるのです。こんなカンパニーは他にありません。

ダンサーたちの笑いさざめく声や激しい息づかいが聞こえたと錯覚しそうな程にその場の空気まるまるを写しているにもかかわらず、Uferas氏の視線は傍観者としてのそれです。その視線には友愛の暖かさと共に、バレエとそれに人生を捧げるダンサーへの崇高な想いがあります。犯しがたい神聖な場所としての舞台、それを息を詰めて見つめるUferas氏自身までもが見えるようです。

そういう意味では、彼の写真はとてもニュートラルな精神で撮られているのではないでしょうか。筋肉オタクでもなく、商業主義的なダンサーのピンナップやカタログ写真でもなく、ただ自分の感情と視線のままに。ダンサー出身の写真家が仲間を見守るような気持ちで撮る写真も私は大好きですが、Uferas氏の写真もとても心地よいものでした。

エリザベット・モーランのアデュー公演「ロミオとジュリエット」のカーテンコールの感動的に美しい写真もあります。

ちなみに、この本に添えられた文章は全て英語でした。