- 2008/07/06 14:00|
- Category: 本のレビュー|
- Tag: abt, NancyEllison, review
発行:Rizzoli (2008/04)
商品の寸法:44.4 x 29 x 3.8 cm
|amazon.co.jp|amazon.com|
写真家のナンシー・エリソンはABT好きにはカレンダー撮影などでおなじみですが、その彼女が2006年と2007年のMETシーズンのドレス・リハーサルとステージを撮影したものがこの写真集。
- 「ラ・バヤデール」
- 「眠れる森の美女」
- 「シンフォニー・コンチェルタンテ」
- 「ロミオとジュリエット」
- 「真夏の夜の夢」
- 「オテロ」
- 「シンデレラ」
- 「ジゼル」
- 「マノン」
- 「白鳥の湖」
上記の演目ごとに、複数またはシングルキャストを写真に収めたもので、何しろ大判ですから1枚1枚に迫力があります。見開きで1枚、舞台を撮影したものなど(見開きで90センチ近く!)凄みすらありますよ。舞台全体を撮影してなおこれだけ鮮やかな描写力で大写しにしても粗がないというのは、カメラのテクノロジーの進歩も相当なものだと唸ってしまいます(写真家に対しては失礼な感心の仕方になるかもしれませんが...)。
2006年と2007年のMETシーズンということで、フリオ・ボッカとアレッサンドラ・フェリによる最後の「マノン」や、フェリが自身最後のMETシーズンにアメリカに紹介したロベルト・ボッレ踊る「ロミオとジュリエット」、更にはヴィシニョーワとマラーホフの「マノン」も収められています。復帰したニーナ・アナニアシヴィリも「ラ・バヤデール」と「白鳥の湖」に見る事ができます。
他のプリンシパルやソリストも万遍なく見る事ができますし、目についたところでは現在大注目のコリー・スターンズも、イリーナ・ドヴォロベンコのパリス役として登場。甘い佇まいがとても素敵です。
ちなみにマイ・ラヴ(はぁと)イーサン・スティーフェルは、「ラ・バヤデール」にヴィシニョーワと1枚、あとは「真夏の夜の夢」では唯一のオーベロンとして登場。2006年はキャンセルだったたし2007年の出演回数を思えば、仕方のないところでしょうね。ただ残念なのは、「真夏...」は少々撮影条件が悪かったのか、まぁ舞台も暗めなのでしょうが、他と比べると少々クオリティが落ちるかな、と。
それぞれドラマに沿う形で写真を収めているので、最初から順番に見ていくとストーリーを追うように見る事ができます。音楽を頭に浮かべながら見ると、より効果的(笑)。実際ABTの上演を見た事がないものも、ある程度視覚的な情報を蓄える事ができるのも嬉しい。もちろん、実際の舞台を補完する事はできませんから「これも見たいわねー」となる訳ですけどね。
全体的な印象としては、いわゆる純クラシックなバレエよりも、「ロミジュリ」「オセロ」「マノン」といったドラマティック・バレエの方が、被写体として能弁で伝わるものが大きいように感じます。それが演目の特性なのか、ABTの得手不得手なのか、あるいは写真家の思い入れなのか、或いは見る側(私)の心持ちなのか、それはわかりませんけれど。
とりわけ「オテロ」は1枚1枚が本当にドラマティックで、この作品の写真の為だけにでもこの本を買ってよかったと思うくらい。ゴメス(オセロ)/フェリ(デズデモーナ)/コルネホ(カッシオ)/ラデッキー(イアーゴ)/アブレラ(エミリア)というキャストを撮影しているのですが、どれをとってもダンサーの熱演や肉体美を切り取っています。特にゴメスの能弁な肉体と大熱演のラデッキーには引き込まれました。
難点は価格と商品の大きさ、でしょうか。これだけ大きなサイズのバレエフォトを自宅でじっくり楽しめるのはありがたい事なんですけどね。
なお、ナンシー・エリソンはメトロポリタン歌劇場を被写体として同じサイズの豪華写真集「In Grand Style: The Glory of the Metropolitan Opera」を2006年に同じ出版社より出しているようです。

In Grand Style: The Glory of the Metropolitan Opera
→|amazon.co.jp|amazon.com|
- Newer: シアターテレビ8月放映予定
- Older: 「英国ロイヤル・バレエの夕べ」DVD
