2008年7月18日 東京文化会館大ホール

クレジット

指揮:チャールズ・バーカー/オームスビー・ウィルキンス (ラビット・アンド・ローグ)
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団

第1部

「ラ・バヤデール」パ・ダクシオン

振付:ナターリア・マカロワ/音楽:ルードヴィヒ・ミンクス/衣裳:セオニー・V・オールドレッジ/照明:小川俊郎

出演:
ミシェル・ワイルズ/デイヴィッド・ホールバーグ

イザベラ・ボイルストン、マリアン・バトラー、アン・ミルースキー、レナータ・パヴァム、マリーヤ・ブイストロワ、メラニー・ハムリック、メリッサ・トーマス、リーヤン・アンダーウッド、アレクサンドル・ハムーディ、コリー・スターンズ

ニコラ・カリー、ツォンジン・ファン、ニコール・グラニーロ、エリザベス・マーツ、ジェシカ・サーンド、クリスティーン・シェヴチェンコ、サラ・スミス、デヴォン・トイチャー

メアリー・ミルズ・トーマス、カレン・アップホフ、キャサリン・ウィリアムズ、グレイ・デイヴィス、トビン・イーソン、ケネス・イースター、ダニエル・マンティ、アレハンドロ・ピリス=ニーニョ、アロン・スコット

この日の第1部の指揮はバーカーさんでした。そしてこの日もファンファーレあり。

ワイルズは前日よりは調子が戻っていたようで、バランスを長めに決めたりフェッテにダブルを混ぜたりしていました。どうしても点が辛くなっちゃって気の毒だとは思うんだけど、プリンシパルになって何年か経つのに、今のままでいいのかなぁ、彼女...。

それ以外の印象は前日とほとんど変わらず。ホールバーグは安定していたし、パ・ダクションの男性2人は長身で見栄えがよく、4人の女性陣の右から2人目は、この日もヘロっていて決まらない...。


「眠れる森の美女」第3幕グラン・パ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ/振付改訂・舞台指導:ケヴィン・マッケンジー、ゲルシー・カークランド、マイケル・チャーノフ/音楽:P.I.チャイコフスキー/衣裳:ウィラ・キム/照明:リチャード・ピルブロウ、ドーン・チャン

出演:イリーナ・ドヴォロヴェンコ/マキシム・ベロセルコフスキー

新版「眠り」の3幕の衣装ですね!第3幕に寒色系を持ってくるのは新鮮な気がしますが、キラキラして、イリーナとマックスによくお似合いでした。特にマックス!あの衣装があれだけ似合う人はABTと言えどそういないのでは。

結婚式らしく神聖な感じでとても素敵でした。ABTの中でチャイコフスキー3大バレエを、ガラできちんと見せられるのはこの2人が一番だと思う。「白鳥」白/黒と「くるみ」は見た事があったので、今回2人の「眠り」が見られたのは嬉しかったです。

なのに!
何故かヴァリエーションを省いてアダージオとコーダのみだったので、コーダの音楽が始まった時には愕然としちゃいました。どちらかが不調なのかなーと心配した時に、前日にマックスがちょっとだけ不安定だった事が思いだされて...。でも、この「眠り」を見た限りでは特に調子が悪そうにも見えなかったので、24日の「白鳥」全幕は2人揃ってしっかり踊っていただきたいです〜。この2人の全幕を見るのは私の長年の楽しみなので、よろしく!

「メリー・ウィドウ」第3幕パ・ド・ドゥ

振付:ロナルド・ハインド/音楽:フランツ・レハール/衣裳:デズモンド・ヒーリー/照明:マイケル・J・ウィットフィールド

出演:ジュリー・ケント/ホセ・カレーニョ

前々回の来日公演に持ってきた「メリー・ウィドウ」から3幕のパ・ド・ドゥ。その時はジュリーとアンヘルで見たので、できれば別の女性ダンサーで見たかったような気もするのですが、やっぱりジュリーのこの役はとっても素敵。彼女はこういうドラマのある役がよく似合います。

カレーニョはとにかくこの場面がよく似合う。そう小柄ではないジュリーをぶんぶん振り回したり肩に座らせたりと力の必要な役ではあるのですが、タキシード姿で美しく踊っていました。ダニロ役は全幕ではクラーク・ゲイブルばりの口ひげを付けているのですが、前々回の公演のプロモーション写真に出ていたカレーニョのダニロ姿が本当に素敵でねー。あれ、でも今思い出してみたら、たぶん今回のガラでは口ひげなしだったよね?(覚えてない...)

この場面は、2人が長いすれ違いの後にようやく想いを一つにする美しいパ・ド・ドゥで、できれば全幕の中で見た方が、ずっと効果的にグっと来るのでは、と見る前は思っていました。しかしながら、そこはジュリーもカレーニョもドラマティックにムードを盛り上げていたので、観客もその世界に浸れた事と思います。甘美だったなー。

「シナトラ組曲」

振付:トワイラ・サープ/舞台指導:エレイン・クドー/音楽:フランク・シナトラ/衣裳:オスカー・デ・ラ・レンタ/照明:ジェニファー・ティプトン/歌:フランク・シナトラ

"夜のストレンジャー" "オール・ザ・ウェイ" "ザッツ・ライフ" "マイ・ウェイ" "ワン・フォー・マイ・ベイビー (アンド・ワン・モア・フォー・ザ・ロード)"

出演:ルチアーナ・パリス/マルセロ・ゴメス

「ラビット&ローグ」を加治屋さんが降板した影響で、この日もパリスとゴメスによる「シナトラ」。始まった時に「あ、2つ連続でタキシードものだ」と思ったけど、片や1905年のパリ(メリー・ウィドウ)、片やそれよりずっと後のNY(シナトラ、、、たぶん)という事で、醸し出す雰囲気は全く別もの。

この日はこの演目だけのゴメス、前日よりはどんな踊りもさりげなくこなしてました。パリスの切れのある踊りも前日同様とてもよかったと思います。1カ所だけ2人のタイミングが合わなくてもたついたところがあったけど、上手くフォローできていたんじゃないかな。

きっとダンサーによって雰囲気が変わる作品だと思うので、できれば男女とも別のキャストでも見比べられたら更に楽しかったと思う。

「海賊」第2幕パ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ/音楽:アドルフ・アダン

出演:シオマラ・レイエス/ホセ・カレーニョ

この日はカレーニョが2演目担当。さすがにお疲れだったのか、見慣れたカレーニョのアリよりは少し抑えめで踊っているようでした。それでももちろん!彼の絶品ピルエットは堪能。

レイエスは今回のガラ、この日だけの出演だったのですね。全幕ではギュリナーラとして登場する彼女のメドーラを見られて嬉しかったです。情感があって素敵なメドーラでした。ただ、彼女にしてはフェッテはちょっとふらついていたかもしれない。まだ本調子ではないのかも。十分楽しませていただきましたけどね。

「瀕死の白鳥」

振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ

ニーナの瀕死はDVDでしか見た事がなかったのですが、まさか生で見られる機会があるとは思ってもいませんでした。「瀕死」もニーナらしくサービスに溢れていて、あの人の腕とは思えないような白鳥の羽のムーヴメントや、死に際の床に座ったままのクル!っと半回転ターンとか(びっくりした!)。

ロパートキナの求道者のような崇高な「瀕死」とは全く別ものだけど、それがどうしたの?いいじゃない!ニーナだもの!という感じ。ニーナと観客の間には、そういう親しい感情が行き来するのです。

白鳥の衣装で見ても、やっぱりニーナは去年より絞れていると思いました。

第2部

「ラビット・アンド・ローグ」

振付:トワイラ・サープ/音楽:ダニー・エルフマン/衣裳:ノーマ・カマリ/照明:ブラッド・フィールズ/音響デザイン:ダン・モーゼス・シュライヤー/振付補佐:キース・ロバーツ

ローグ(ならず者):イーサン・スティーフェル
ラビット(紳士):エルマン・コルネホ

ラグ・カップル:ジリアン・マーフィー、デイヴィット・ホールバーグ
ガムラン・カップル:パロマ・ヘレーラ、ゲンナジー・サヴェリエフ
カルテット:ミスティ・コープランド、マリア・リチェット、ジャレッド・マシューズ、クレイグ・サルステン

アンサンブル:クリスティ・ブーン、マリアン・バトラー、メラニー・ハムリック、シモーン・メスマー、ジャクリン・レイエス、サラワニー・タナタニット

トーマス・フォースター、ジェフリー・ガラデイ、アレクサンドル・ハムーディ、ブレイン・ホーヴェン、パトリック・オーグル、アイザック・スタッパス

【序曲】〜【1.浮かれ騒ぎ】ローグ、ラビット、アンサンブル、カルテット〜
【2.ラグ】ラグ・カップル、カルテット、アンサンブル、ローグ〜
【3.リリック】ラビット、カルテット&アンサンブル、女性、ローグ〜
【4.ガムラン】ガムラン・カップル、カルテット、アンサンブル、ラビット、ローグ〜
【5.フィナーレ】ラビット、ローグ、ラグ・カップル、ガムラン・カップル、カルテット、アンサンブル

2回目の今回は、予想以上に(というよりも、めちゃくちゃ!)楽しめました。びわ湖までもう1度見に行こうかと真剣に考慮しましたが、外せない予定が入ってしまったので断念。

2度目の鑑賞で作品に対する心構えがあったという事もあると思いますが、この日は前日よりは少し席の位置が高く(物理的にというか標高的にというか)、前日は頭の上を音が通り過ぎる感じだった音が、直接肌に感じらたのが大きかった気がする。ダニー・エルフマンの音楽、すごく楽しい!音源が欲しいと真剣に思いました。この作品の為に創られた曲だから、まだエルフマン氏は録音していないと思うのですが、ぜひ!初演キャストのダンスと共に残していただければ...

イーサンは前日よりよかったと思います。前日も音楽的でつま先が綺麗で素敵だったけど、この日は更にピシっと決まってた。作品の雰囲気はいわゆるクラシック・バレエとはかけ離れたものだけど、振付そのものには、クラシック・バレエの基本がたっぷり用いられているので、「あら、それはジャン・ド・ブリエンヌに見えるわ」「こっちはバジルに見えなくもない」って感じで、いろんなイーサンを見られてお得な感じ。

他の主要キャストも前日同様とてもよかったと思います。イーサンがジリアンに投げキスするところは、前日の「ナイスバディ〜」のマイムがなくなっていて残念。あれをしっかり見よう!と思ってオペラグラス構えてチェックしてたのに(笑)。

カルテットから加治屋さんが降板して代役にコープランドが入ったので、その相手役もジャレッド・マシューズに変更。加治屋さんの硬質な雰囲気とはまた違うコープランドが入ったことで、ここの味わいはだいぶ変わっていました。彼女も身体的能力は高いけど、上半身は相当女性的だし、踊りの質感ももう少し柔らかいんだよね。ジャレッド・マシューズもよい相手役だったと思います。最後の最後にラビットとローグに女性陣を横取りされてサルステンと「おいおい、あれ見ろよっ」って感じのところも、前日のロペスとは雰囲気が違って楽しめました。

カルテットの1組が変わるだけでも印象が少し変わるのですから、セカンドキャストが踊ったら全然別ものになるのでしょうね!NYでのセカンドキャストは、サッシャ・ラデッキー(紳士)/マルセロ・ゴメス(ならずもの)/クリスティ・ブーン&コリー・スターンズ(ラグ・カップル)/マリア・リチェット&ホセ・カレーニョ(ガムラン・カップル)だったと思います。こちらも機会があれば見てみたいなー。...でもラデッキーとゴメスじゃあ、やっぱり紳士とならず者が逆かもしれない(笑)。

ということで2度目、本当に楽しかったです!
そういえば初日はこの作品の振付補佐に入っているキース・ロバーツを見かけました。相変わらず素敵だったー。