2008年12月21日 新国立劇場オペラパレス

クレジット

振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/監修・演出:ウェンデイ・エリス・サムス/舞台美術・衣装:デヴィッド・ウォーカー/照明:沢田祐二/装置・衣装制作:英国ロイヤルバレエ
指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

シンデレラ:酒井はな
王子:山本隆之
義理の姉たち:保坂アントン慶、高木裕次
仙女:川村真樹
父親:澤田展生
ダンス教師:古川和則
仕立屋:泊陽平
洋服屋:西川貴子、楠本郁子
靴屋:福田圭吾
床屋:佐々木淳史
宝石屋:井口裕之
御者:末松大輔
春の精:丸尾孝子
夏の精:湯川麻美子
秋の精:高橋有里
冬の精:厚木三杏
道化:吉本泰久
王子の友人:陳秀介、冨川祐樹、江本拓、中村誠
ナポレオン:八幡顕光
ウェリントン:市川透


感想

酒井はなさんのシンデレラは初見。評判がよいので見てみたかったのだけど今までチャンスに恵まれず、今回ようやくとなりました。相手役は山本隆之さんで相性がいいし、きっと楽しませてくれるに違いない!とワクワクしながら劇場へ。

だけど...結果的には、はなさんと山本さんの組み合わせを見るならドラマティックバレエの方がよい、と思いました。はなさん自身は調子よかったと思うし気持ち的にもノッて踊っていたと思います。姫オーラのキラキラ度も凄かった。でも、夢にまで見た舞踏会で王子様が目の前に!じゃなく、まるで「幼なじみが実は王子様だったの!」みたいな気楽さ。ボロ着でもドレス姿でもシンデレラというキャラクターからはみ出るイキのよさというか。今時のコって感じでしたね。それが好きな人もいると思うけど、私はたぶんこの作品が好きすぎて「こうあるべき」みたいなのが強すぎるのでしょう。キラキラオーラを出したはなさんを見られたのは嬉しかったけど、「シンデレラ」の主人公としてはもの足りなさを感じてしまって残念でした。

山本さんも、はなさんのそういうシンデレラに対して引っ張り回される男の子に見えてくるし(笑)。私自身がそう見ちゃったせいもあると思うんだけど、王子度が少し不足していたように思えてねぇ。せっかくの山本くんの舞台なのに楽しめなかった自分が悲しかったです。それに、あまり脚(というか足首?)のコンディションがよくなさそうに見えたのですが大丈夫なのかな。ヴァリエーションが不調だったので心配しました。サポートはいつも通り万全でしたけど。


さて、この日のアグリーシスターズは保坂アントン慶さんと高木裕次さん。保坂さんはねー、綺麗なんですよね。お化粧は凄いけど、ちゃんと女の人になってる。アクリさんは何かもう別次元だから(笑)。そして気の弱い妹役の高木裕次さんがめちゃくちゃツボでした。なんて可愛くて楽しいの〜。保坂さんとの息もあっていて、彼のアグリーシスターズを見るためだけにでもチケットを買い足したいくらいでした(そうしなかったのは、予定が詰まっていて時間を捻出できなかったから...残念なり)。

この日は父親が澤田展生さんだったのですが、この2人の強烈な義理の娘たちに対抗するには澤田さんはまだ線が細いかな。翻弄される父親でした。
ダンス教師の古川和則さんも初役。吉本さんはオネエ言葉を話すチャッカリしたタイプっていう印象なんだけど、古川さんは職務に超熱心で不器用タイプっぽい(笑)。振付が一緒なのに違って見えるのが面白いですよね。でも、古川さんには王子の友人あたりに入ってほしいなぁ。ノーブルな古川さんが見たいです。

この日も仙女は川村真樹さん。踊りは前日より更によくなっていました。四季の精はガラリと顔ぶれがかわって丸尾/湯川/高橋/厚木。三杏さんの冬の精、やっぱり大好きです。でもね、前はひんやりしたクリスタルの質感だったのが、そこにほんのり柔らかさというか暖かさというかまろやかさというか...とにかく質感が微妙に変わっていました。ご本人の充実度が反映されているのかな。とても素敵でした。


道化は吉本さん。普段の吉本さんからすると跳躍に少し重さがあったかな、という印象。回転系は素晴らしかったし、道化としての表情の豊かさも好きだな。1度あの道化の頭がついたスティック(なんて呼んだらいいの?)状のアレを踊りながら飛ばしてしまったりして、珍しいところも見られました(^^;)。

この日はナポレオンが八幡さん、ウェリントンが市川さん。八幡さんは前回よりこの役ブラッシュアップしてますよ(笑)。アグリーシスターズと手を取り合って踊るところ、相手と向かい合った時に上にピシッとあげた手が勢い余ってプルプル揺れる(って見た人しかわからないよね...)のとか、芸が細かいです。全くもう、面白いコだわ〜。

そしてこの日も時の精たちは素晴らしかったです。もうホントに彼女たちが踊っているのを見るだけで、あまりの美しさにうるうる来ます〜。前日は思いが及ばなかったんだけど、考えてみたら最前列ですっごく綺麗に手脚を伸ばして踊っている美人さんで、私が目が離せなくなってしまた難波さんてあのアラジンのお母ちゃんだった方よね?何ですか、このギャップは(笑)。

主演キャストにかけた期待が高かっただけに、その分ちょっともの足りなさを感じた公演ではあったのですが、公演の質は高く脇も充実していたので、そういう意味では楽しかったです。


ところで...3幕でシンデレラがガラスの靴を履くところって、前の上演の時もシンデレラってポワント脱いでましたっけ?王子がガラスの靴を持って訪ねてきたあたりでシンデレラがさりげなく上手袖に消えてポワントを脱いで(タイツのまま)出てくるんですけど。昔はポワントの上にオーバーシューズっぽく履いていたような気がするんだけど、これこそホントに私の気のせいかな。

ポワントの事はどうなのかわからないけど、それ以外にも、冬の精のところでスモーク炊いたり、1幕の義姉たちのおめかしの時にネックレスぐるぐるがなくなったり、少し手は入れているみたいですよね。
本当に大好きなプロダクションなので、ずっとずっと上演し続けてほしいです。