2008年12月26日 新国立劇場オペラパレス

クレジット

振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/監修・演出:ウェンデイ・エリス・サムス/舞台美術・衣装:デヴィッド・ウォーカー/照明:沢田祐二/装置・衣装制作:英国ロイヤルバレエ
指揮:デヴィッド・ガルフォース/演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

シンデレラ:寺島まゆみ
王子:貝川鐵夫
義理の姉たち:保坂アントン慶、堀登
仙女:本島美和
父親:石井四郎
ダンス教師:吉本泰之
仕立屋:澤田展生
洋服屋:湯川麻美子、厚木三杏
靴屋:福田圭吾
床屋:古川和則
宝石屋:高木裕次
御者:末松大輔
春の精:伊藤友季子
夏の精:西川貴子
秋の精:遠藤睦子
冬の精:寺島ひろみ
道化:グリゴリー・バリノフ
王子の友人:陳秀介、冨川祐樹、江本拓、マイレン・トレウバエフ
ナポレオン:八幡顕光
ウェリントン:小笠原一真


感想

寺島まゆみさんの主演公演を見るのは初めて。彼女のシンデレラデビューと貝川さんのシンデレラ王子デビューを見に行ってきました。元々26日か27日(27日は西山裕子さんのシンデレラデビューで中村誠さんの王子)どちらかを、都合をつけて買い足そうと思っていたのですが、平日マチネの方が都合がつけやすかったのと、まゆみさんがご自身のサイトで「アントヌッチさんに指導されて貝川さんがパワーアップした」と書いてあった事、それとバリノフくんの道化が見たかったので26日にしました。ちょうどwebボックスオフィスをチェックした時に戻りの超良席があったのも決め手、だったかな。

平日マチネで「シンデレラ」という演目のせいか、客席のお子様率の高さは尋常ではありませんでした。未就学児じゃないの?ってコもいたし、企業がスポンサーについてお子様とバレエを見ましょう、みたいな事もしてたんじゃないかと(幕間のホワイエに、企業名の入ったリボンを胸元につけた担当者っぽい方がいたし)。学校公演なら幕があがれば集中してくれるからいいけど、小さい子は集中できないからねー...。幸い私の席の周囲にはあまりひどいお行儀の子はいなかったけど、遠くから話し声は聞こえたりしました。休憩後の館内アナウンスで「「お子様連れの方はお静かにご鑑賞ください。」なんて言ってた位なので苦情も相当あったんじゃないでしょうか。

でも、それだけお子さん連れが多いというのは反応が素直でもあるんですよね。シンデレラの馬車が走り去って1幕が終わり客電がついた時の何ともいえないため息の波動とか、2幕冒頭で先に幕が上がって舞踏会の装置に感嘆する声とか、とても微笑ましかったし喜んでくれて嬉しいと思いました。


と公演に関係のない事を長々書いてしまいましたけど、見に行ってよかったです。すごく幸せな気分で劇場を後にできました。

なんと言っても寺島まゆみさんが本当によかった。クリアなパ、柔らかく表情豊かなアームス、そして優しく希望に満ちた表情。ボロ服の時から気品があふれてすぎちゃって「気品の無駄遣い」感があったものの、絵本から出てきたようなヒロインぶりで適役!と思いました。

それに2幕の舞踏会に現れたときのあの夢見る表情といったら!視線を上にあげたままポワントで階段をおりてくるのはシンデレラの夢見るようなふわふわの心地を表していると思いますが、まゆみさんは潤んだ瞳で本当に夢の真ん真ん中にいるような表情。誰がエスコートしてくれているかにも気づかないほどの幸福感を見せてくれて、こちらの胸が詰まるようでした。

そしてそんなシンデレラの視線に上から入る王子(それがツボなの〜!)。貝川さんは優しくて愛情溢れたプリンスでした。こんなにシンデレラの王子がハマるとは思わなかったわ。2幕のヴァリの最後にちょっと手をついちゃったりしたけど、あとはとてもよかったし、彼だって初役にもかかわらずまゆみさんを優しくサポートしていました。踊りの相性もよくて安心して見ていられたし、ホントに2人とも初役?って思っちゃった。貝川さんは自分自身が初役なのに相手も主役デビューとか初役とかってケースばかりで大変な事もたくさんあると思うのだけど、それもカンパニーの信頼あってこそ。その期待に見事に応えていました。


主演の2人だけでも大満足ですが、この日も脇は見逃せません(笑)。この日のアグリーシスターズは保坂さんと堀登さん。なんというかやっぱりベテランは違う、と唸りました。井口裕之さん、高木裕次さんとそれぞれにキュートで楽しかったし大満足させてくれたけれど、堀さんの妹っぷりは名人芸の域だと思うわー。堪能させて戴きました。

仙女は本島美和さん。彼女はこういうロマンチックタイプのチュチュが似合いますね。年齢からしてもシンデレラを包み込むような存在感を出すのはなかなか大変だと思いますので、お姉さんタイプの仙女さんでした。
四季の精で初見は伊藤友季子さんで、よく踊れてました。他の3人も初日よりは完成度があがっていて、見応えがありました。初日に感じた違和感もなくなっていたので、(私の慣れの問題だったのかしらね...)心の底から楽しかったです〜。

あとね、この日はバリノフくんの道化が際立ってました。踊りの自在さ、音のなさ、軽さ..いつも通り安心して見ていられる彼ですが、この日は特に楽しそうで生き生きしていたのが印象的。ひとしきり踊ってみせた後に、一人で舞台の一番前まできて客席を見渡したりするところがありますよね。あそこで「何だよ、こんなに踊ってみせたんだぜっ」て感じでおどけた表情をしたんですよね。そしたら客席からわーっと拍手がわいた。お子さん連れが多くてノリがよかったのかもしれませんけど、そういう客席とのコミュニケーションもうまいな、って。もっといろんな役に配役されて活躍してほしいと熱望します。


さて、この日は王子の友人にマイレンが入っていまして、やっぱり4人で並ぶと目をひきます。ただ、他の3人とも以前ほど差を感じる事もなくて、見応えを感じるようになってきました。あのカツラは頭頂部がペタンとしていてプロポーションをよく見せる助けにならないのが残念だけどねー。この辺の人たちが更に個性を出してきてくれると、厚みが出て面白いなと思います。

ウェリントンに小笠原一真さんが入っていたので(すっとぼけたウエリントンでした)、マズルカで小笠原さんがいた位置(楠本郁子さんのパートナー)に澤田展生さんが入っていたんですね。で、その澤田さんが踊りが柔らかくて頭が小さくてプロポーションいいのね〜、と認識しました。脚も長いよね?あ、もっとちゃんと見たい、と思いました。


まゆみさん初役なのに落ち着いてるなーと感心していたら、3幕では義姉たちの服を整えるのに気をとられて、義姉と手をポンポンとやるところができなかったり(笑)というような小さなハプニングもありましたが、初めて見た人なら気づかないでしょうし、物語の大筋には関係ないですものね。

覚えている事だけざーっと書き並べただけですが、、、この日の公演は本当に大満足でした。なかなか思うように公演に足を運べない時期が長くなってきましたが(それでも行かせてもらえているだけで感謝、です)、こうして大好きな新国立劇場バレエの「シンデレラ」で1年を締めくくれた事は幸せでした。また2009年もよい年になりますように。(...と書いているのは2009年も2週間すぎた頃ですけども・笑)