2009年2月15日 新国立劇場オペラ劇場

クレジット

振付:マリウス・プティパ/改訂振付・演出:牧阿佐美/音楽:アレクサンドル・グラズノフ/美術:ルイザ・スピナテッリ/照明:沢田祐二
指揮:オームズビー・ウィルキンス/演奏:東京交響楽団

キャスト

ライモンダ:川村真樹
ジャン・ド・ブリエンヌ:碓氷悠太
アブデラクマン:冨川祐樹
クレメンス:寺田亜沙子
ヘンリエット:堀口純
ベランジェ:マイレン・トレウバエフ
ベルナール:芳賀望
ドリ伯爵夫人:西川貴子
アンドリュー2世王:市川透
第1ヴァリエーション:さいとう美帆
第2ヴァリエーション:高橋有里
サラセン人:丸尾孝子、楠本郁子、堀岡美香、陳秀介、古川和則、小口邦明
スペイン人ソリスト:遠藤睦子、江本拓
チャルダッシュ ソリスト:大和雅美、グリゴリー・バリノフ
マズルカ:北原亜希、千歳美香子、堀岡美香、大湊由美、小村美沙、酒井麻子
グラン・パ・クラシック:湯川麻美子、遠藤睦子、西山裕子、さいとう美帆、寺島まゆみ、小野絢子、丸尾孝子、寺田亜沙子、マイレン・トレウバエフ、陳秀介、江本拓、高木裕次、古川和則、芳賀望、佐々木淳史、今勇也
ヴァリエーション:遠藤睦子
パ・ド・カトル:マイレン・トレウバエフ、江本拓、芳賀望、今勇也
パ・ド・トロワ:寺島まゆみ、小野絢子、丸尾孝子


感想

「ライモンダ」最終日。大好きな川村真樹さんのライモンダデビューの日です。そして、昨シーズン「カルメン」にゲスト出演し好評を博した碓氷悠太さんを再び新国立劇場にゲストに迎えるという事で、会場の女性客たちは気のせいか かなりそわそわしていたような(笑)。全体に暖かい、期待に満ちた空気が会場に満ちていました。


川村真樹さんのライモンダは本当に素晴らしかったです。彼女の新国立劇場でのグランドバレエの主演は「眠れる森の美女」「白鳥の湖」も見ましたが、今回の「ライモンダ」が一番彼女の個性に合っていて、役に対して不自然なところが1つもない。まさに「満を持して」のライモンダ デビューだったと言えるでしょう。

あの美しいラインと確実な踊りと主役オーラを得て、堂々たる佇まい。主役として舞台をひっぱる力もあり、オペラパレス初登場で緊張していたと思われる碓氷さんをさりげなくリードしながら物語を作るその姿に、成長と頼もしさを感じて、身内のようにウルウルしてしまいました。

初めて拝見した碓氷さんは噂通りに見目麗しく背も高く、踊りもよい感じという逸材。他のダンサーたちがみなこの劇場に慣れている中なので、目線はもっとあげるといいのになーとか、緊張してテンパっているのかなーとか、少し心配しつつ「ほらっ、笑顔!」と応援したくなる(笑)。まだお若いでしょうから、どんどん経験を重ねていけば、貴重なダンスール・ノーブルになってくれるのでは。期待します。

しかし、この日はやはり相当緊張されていたように見受けられました。私が山本さんのジャンを直前に2度見ているせいもあると思いますが、プロローグから彼の動作が、予想されるタイミングより少しばかり早く感じられたので「むむ、大丈夫かな」と。川村さんとのパ・ド・ドゥでも、彼の反応が少し遅いように思ったので、私は「川村さんがリードしてあげてるのね」と感じた訳ですけれど、人によっては「頼りがいのあるジャン」と見えたかもしれないですものね。

でも癖のない伸びやかな踊りはとてもよかったです。主役なのだからもっと押し出しが強くていいくらいだと思う。表情や踊りの魅せ方など、経験値をあげて身につけていってほしいです。ホントは「ぜひ新国立劇場に!」と思ってしまいますが、こんな貴重な人材、地元が手放さないよね〜。いずれにしても、彼が素晴らしいダンサーになればそれが一番の事なので、それを大人の事情で邪魔する事がありませんように。話がそれてしまいましたが、川村さんとの並びもバランスがよくて好印象だったので、来シーズン「ドン・キホーテ」の川村さんのお相手もぜひ彼に!と思いました、です。


川村さんのライモンダは、そういう訳で(相対的に?)他の日に見た寺島ひろみさんや本島美和さんの印象に比べれば少しお姉さん的な存在でした。でもそれは、自らの運命を誰かにゆだねるという受け身の姿勢ではなく自らの意志でジャンを選びその帰りを待つ、というライモンダの芯の強さと直結するので違和感はなく、むしろ自然。まぁ、このライモンダのお相手には、もっと頼りがいのあるジャンが...と思わなくもなかったけれど〜。

それに、そのふんわりした柔らかい物腰が貴婦人しかりという感じで、ライモンダにぴったり。2幕でアブデラクマンが登場し、彼女の手をひいていって一緒に踊るシーンがありますが、その時の川村ライモンダは嫌悪ではなくとまどいの表情。内心困っているにしても、あからさまに表情に出さないのは、客人に対する礼儀ですよね。それがアブデラクマンのあからさまな求愛によってだんだんに態度が変わってくる。あからさまな嫌悪ではなく、今まで出会った事がないような人に言いよられて戸惑って、それがだんだん怖くなってくるというか。非常によく考えてあるなーと感心しました。

この川村さんの役作りを受けてか、クレメンス/ヘンリエット役の寺田さんと堀口さんの表情も、寺島さんの日のようにあからさまにイヤな顔をする事はなく、その辺のバランスも好もしかったです。この3人で一緒に踊るのは本当に華やかでしたよー。11日に1度踊っている事で2人ともいい具合に肩の力が抜けていたのでしょう、踊りもこの日の方がずっとよかったと思います。

冨川さんのアブデラクマンについては13日の感想(「ライモンダ」新国立劇場バレエ(2009/02/13))で触れているのでここでは割愛しますが、この日もサポートの安心度は格別で、女性を綺麗に見せるサポートが上手い方だと改めて感心しました。

ベランジェとベルナールはマイレンと芳賀さん。んー、ごめんね、どうしても目がマイレンにいってしまうので芳賀さんの印象があまり残っていない...。

芳賀さんが入ったところ以外はほとんど11日と同じキャストでしたが(13日にお顔が見えなかった高木裕次さんも復活。でも顔色悪かったですよね...大丈夫だったのかな)、全体に私が見た中ではこの日が一番まとまっていて出来がよかったように思います。6日連続公演の最後でお疲れだったと思いますが、テンションあげてくれて嬉しかったわ。13日に壊滅的だったカトルも同じメンバーながらこの日はビシっと揃えてきたし、トロワの寺島まゆみさんのジュテもこの日は一際高かった、気が。


今回私は日本人キャストの日しか見られなかったので、全体的に若手登用日だったと思います。まぁだんだんに若手さんたちの顔とお名前が一致するようになってきたし、踊りの感じもわかる人が出てきたので見ていて楽しい。けれど、やっぱり、遠藤さんや高橋さん、大和さんがビシっと要所を締めてくれてこその舞台だし、彼女たちの踊りを見ていると本当に幸せだと感じます。ドリ伯爵夫人役の西川貴子さんの存在感も素晴らしかった。やっぱりこの世代あってこその舞台だと強く思います。若手の台頭は喜ばしいことだけど、もう少しソリストたちの踊りも見たかった(ゲスト日に見られなかった自分もアレなんですが)。

日にちが経っちゃったのであまり細かいところまでは書けませんでしたが、とにかく幸せな舞台でした。このマチネの後にNHKホールにかけつけたので、せっかくの舞台の余韻をたっぷり楽しめなかったのは本当に残念ですが、川村さんのライモンダを、また見られる機会を楽しみに待ちたいと思います。